1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10630138
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
加藤 盛弘 同志社大学, 商学部, 教授 (80066232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 理 同志社大学, 商学部, 助教授 (40257796)
村瀬 儀祐 高知大学, 生涯学習教育研究センター, 教授 (50036563)
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Keywords | 将来事象 / 認識領域 / 会計判断 / 年金会計 / 偶発事象会計 / デリバティブ会計 / キャッシュ・フロー |
Research Abstract |
昨年度は将来事象を認識領域化する理論的枠組みの研究と,将来事象の計上を規定する個別会計基準についての研究を行った。理論的枠組みについての研究では,現在のアメリカにおいて,将来キャッシュ・フロー概念を中心に据えることによって,会計の認識領域を過去の収入・支出にとどめることなく,将来の収入・支出にまで拡大し,取引価格から切り離し,それを公正価値や将来キャッシュ・フローによって測定可能にしうる理論的枠組みが構築されていることを明らかにした。そのような将来事象の会計認識領域化は予測・見積という判断領域の拡大をもたらすということも明らかにした。 本年度は日米会計制度のあり方の比較をふまえて,日米企業を対象に,そのような会計理論や会計基準によって認識領域化された将来事象の会計実務上での認識状況の調査を行った。アメリカについては財務諸表データベースとForm10-KによってS&P100社を対象に,将来予測要素を用いるどのような会計項目が,どの程度計上されているのかを調査した。日本については東京証券取引所1部上場会社1359社を対象にアンケート調査を行い,407社(回答率29.9%)から回答を得た。さらに,将来事象を認識・計上する判断プロセスが,会計実務上どのように行われているのかを日本企業および日米の監査法人に対してヒアリング調査を行った。 その調査結果によって,アメリカにおいては将来事象を認識する会計実務の拡大が加速している状況が明らかになった。それに対して,法・行政による画一的な判断を求めるあり方をしている日本の会計制度においては,予測・見積という判断をともなう将来事象会計に対応が困難であるという状況が浮き彫りになった。今後も,その調査結果に詳細な分析・検討を加え,理論的研究と総合化させて研究論文のかたちで本研究課題を仕上げる予定である。
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Research Products
(2 results)