2000 Fiscal Year Annual Research Report
共形不変形を持つ幾何学的変分問題の可積分系による解法について
Project/Area Number |
10640065
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
落合 卓四郎 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90028241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 敦 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (30293335)
今野 宏 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20254138)
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Keywords | 微分幾何学 / 大域解析 / 極小曲面 / 変分問題 |
Research Abstract |
研究代表者の落合は、3次元ユークッリド空間内の閉じた曲面が共形不変性を持つ幾何学的変分問題(平成10年度に研究)の解であり、かつ群の作用を許す場合の研究を常微分方程式の分岐理論の立場から研究した。結果として、球面から変形してゆき、分岐する例を構成できた。 研究分担者の今野は、今年度は非可換群による超ケーラー商の研究を始めた。手始めとして、最も単純と思われる具体例を考察した。すなわち、複素直線の余接空間には、超ケーラー構造が入ることが知られているが、その直積のSO(3)による超ケーラー商のコホモロジー環を決定した。この空間は、複素直線の直積のSO(3)によるシンプレクテイック商(多角形のモジュライ空間とよばれる。)を半分次元の部分多様体として含んでいるが、可換群の場合と同様に、コホモロジー環は、超ケーラー商の方がより単純であった。さらに多角形のモジュライ空間はあるパラメータをもっていて、そのパラメータに応じてトポロジーが変化するが、超ケーラー商の部分空間として見ると、その変化の様子が大域的に記述される 研究分担者の藤岡はこれまでの研究から続くような形で,可積分系理論的なアプローチから曲面の微分幾何についての研究を行った.ユークリッド空間内の平均曲率一定曲面(CMC surfaceと略す)は,平均曲率が0でない場合,古くから可積分系理論の分野で知られているsine-Gordon方程式として記述される.ユークリッド空間内のCMC surfaceの自然な一般化としてBonnet曲面(局所的に非自明に等長的に変形できる曲面)やharmonic inverse mean curvature surface(平均曲率の逆数が調和関数となる曲面,以下,HIMC surfaceと略す)とよばれるものが定義される.これらの曲面族は曲率線に沿った等温座標系がとれる,isothermicとよばれる条件の下で,Hazzidakis方程式とよばれる常微分方程式によって記述されるが,この方程式は可積分系理論の分野で良く知られているPainleve方程式として記述されることが最近になってBobenko-Eitnerにより示された.Bonnet曲面やHIMC surfaceは定値計量とは限らない3次元空間形内の曲面に対しても定義される.そこで,不定値計量をもつ3次元空間形内の時間的なHIMC曲面について考察し,それに対するLax方程式やその解から曲面をあたえる公式である,immersion formulaを求めるといった,定値計量をもつ空間形内のHIMC surfaceと同様の性質について調べる他,時間的な曲面特有の現象についても調べた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] KONNO,Hiroshi: "Cohomology rings of toric hyperkahler manifolds"Int.J.Math.. 11. 1001-1026 (2000)
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[Publications] FUJIOKA,Atsushi: "Spacelike surfaces with harmonic mean curvature"J.of Math.Sciences,Univ.of Tokyo. 7. 657-698 (2000)