1999 Fiscal Year Annual Research Report
結び目のエネルギーの研究(エネルギー最小元の存在と数値実験)
Project/Area Number |
10640085
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
今井 淳 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70221132)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 睦雄 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40011697)
荻上 紘一 東京都立大学, 総長 (10087025)
大仁田 義裕 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90183764)
出口 哲生 お茶の水女子大学, 理学部(物理), 助教授 (70227544)
阿原 一志 明治大学, 理工学部, 専任講師 (80247147)
|
Keywords | 低次元トポロジー / 結び目理論 / 結び目のエネルギー |
Research Abstract |
結び目理論では、3次元空間に埋め込まれた円周の全イソトピー型を研究する。私は結ぶ目全体の空間の上に、結び目が自己交叉しようとすると、無限大に発散するような実数値汎関数を何種類か定義して、それらを結び目のエネルギー(汎関数)と呼んだ。これらは荷電した結び目の静電エネルギーの積分の指数を変えたものを、有限の値を取るように正規化したもの、及びそれを拡張したものが主な例になっている。この結び目のエネルギーを結び目の分類問題に応用したり、低次元トポロジーの研究に役立てたいというのが目標である。私が89年に発表した結び目のエネルギーの一番最初の例は共形(メビウス)不変であるという、著しい性質を持つ。98年末にフランスのブルゴーニュ大学のレミ・ランジュヴァン教授と話す機会を得た。そこで、彼が現在共形不変なカテゴリーでの積分幾何学的な興味から、共形不変な結び目のエネルギーを定義したということが分かった。この時には十分に議論する時間がなかった為に、99年の9、10月に私がフランスのディジョンに海外研修に行き、ランジュヴァン氏と共同研究を行った。ランジュヴァン氏の定義した汎関数は複雑な為、明確な公式がまだ出来ていないが、被積分関数の対角成分付近の漸近挙動を調べた結果、彼の汎関数と私の汎関数は異なるということが分かった。共同研究の結果幾つかの問題を提起することが出来たが、まだ計算の途中の状態で結果をまとめるには至っていない。取り敢えず、ランジュヴァン氏の汎関数の明確な公式を求めることが第一のステップになると思われる。彼の汎関数と私の汎関数の間に何らかの不等式が成立するかどうか、ということも考察したい。又、共同研究中に得たテクニックは、微分幾何学の未解決問題であるウィルモア予想をアタックする為に利用出来るかもしれないと期待している。
|