1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640094
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鈴木 晋一 早稲田大学, 教育学部, 教授 (10030777)
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Keywords | 3次元多様体 / ハンドル体分解 / Heegaard分解 |
Research Abstract |
1970年にS.Downingによって,コンパクトで,連結で,向き付け可能で,境界を持つ3次元多様体Mに対しても,境界を持たない場合(閉多様体)のHeegaard分解に似て,自然数nが存在して,Mが2つの種数nのハンドル体V,Wに分解されることが示された。さらに,1973年にL.G.Roel-gによって,境界が連結の場合には,VとWの間にある強い対称性が存在することが指摘された。今年度の研究では,まずこの強い対称性が,境界成分の個数に関係なく,いつでも存在することを示した(「研究目的」で示した定理1)。これによって,閉多様体の場合と同様に,Mの種数を定義できることになった。 ついで,この分解に関しても,もしM内に本質的な2次元球面が存在するならば,Mの分解曲面F=Vnwと1本の単純閉曲線で交わる本質的な2次元球面が存在するという,いわゆるHaken型の定理が成立することを証明した。ところが,「研究目的」で成立することを予測した次の命題には反例が見つかった:もしM内に本質的な固有円盤が存在するならば,Mの分解曲面Fと1本の単純弧で交わる本質的な固有円盤が存在する。この結果,ステイトメントを弱い形にするか,何らかの新しい条件を付与することが必要となった。この反例をより深く考察して,どのような形で定理としてまとめるのが使用上で有効か,を考えるのが2年目の最初の課題である。
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