1998 Fiscal Year Annual Research Report
多成分反応拡散系のアトラクターの構造と遷移ダイナミックス
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10640141
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
細野 雄三 京都産業大学, 工学部, 教授 (50008877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 芳樹 京都産業大学, 理学部, 教授 (90065871)
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Keywords | 反応拡散系 / 進行波解 / Lotka-Volterra競争系 / パターン形成 / Kermack-McKendricモデル / pushed front / pulled front / 速度選択原理 |
Research Abstract |
本年度は、多成分反応拡散系の考察への準備として、これまで我々が行ってきた2成分反応拡散系の未解決問題に焦点を当てて研究を行った。 (1) フィッシャー型反応拡散方程式においてはpushed frontsとpulled frontsという2つの異なった速度選択原理を持つ進行波解の存在が知られている。2成分反応拡散系においてもそれと同様の構造が現れることが示された。すなはち、常微分方程式の意味で安定な平衡点と不安定な平衡点をもつ場合のLotka-Volterra 2種競争系において、もっとも簡単な2次の非線形性であってもその係数に依存してpushed frontsとpulled frontsの2つのタイプの進行波が現れることを示すことができた。それらの進行波解の性質の厳密な証明は、幾何学的な観点が必要であり、現在追及中である。このことは、多成分反応拡散系の進行波における速度選択原理の解明への第1歩であるといえる。 (2) 三村らにより提案されたバクテリアコロニーのパターン形成モデルは、Kermack-McKendric伝染病モデルに現れる非線形項と同じ退化性を持つ。Kermack-McKendric方程式の進行波解の存在証明に開発した我々の幾何学的手法の適用可能性を追及するなかで、それらのモデルの性質の違いが明らかになりつつある。また、三村らのモデルをさらに簡単化したモデルがBen-Jacobiらによって提案されており、その解析を優先させ、進行波解の数値的性質を調べた。その計算結果から、Ben-Jacobiらモデルの進行波解が存在すること、そしてその速度が一意であることが明らかになった。これら結果をさらに発展させて、各モデルの特徴を明らかにすることが今後の課題である。
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[Publications] Yuzo Hosono: "The minimal specd of traveling Fronts for a diffusive Lotka-Volterra competition model" Ballctin of Mathematical Biology. 60・3. 435-448 (1998)
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[Publications] 渡辺崇史・細野雄三: "等高面の方法による界面伝播の追跡" 京都産業大学計算機科学研究所所報. (1999)
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[Publications] M.Yasugi, T.Mori and Y.Tsujii: "Effective properfies of sets and functions in metricspaccs with computalibty structure" Tluoretical Computcr Sciencc. 219. (1999)