1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640183
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
安藤 毅 北星学園大学, 経済学部, 教授 (10001679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 和義 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80113661)
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Keywords | 作用素不等式 / 同時縮小化可能性 / 束構造 |
Research Abstract |
1. 行列Aはそのスペクトル半径r(A)が1小であれば,縮小行列と相似である,すなわち正則な行列Sで||S^<-1>AS||<1を満たすものが存在する。これを一般化して,行列の有界集合Cに属するすべての行列が,ある正則な行列Sで共通に縮小行列に変換され sup{||S^<-1>AS||:A∈C}<1 とできるのはこの集合Cがどんな条件を満たすときか,という同時縮小化可能性の問題がある。 そのための必要十分条件はいまだ得られていないが,この研究では有用な十分条件を確立した。すなわち,この集合に対して自然に定義される共有スペクトル半径r(C)の値が1/√<n>よりも小であれば(ただしnは行列の次数),この集合は同時縮小化が可能であることが証明できた。 2. ヒルベルト空間の自己共役作用素の空間には,半正定値性に基づく自然な順序が導入される。しかし,この順序は束構造にはなっていない。それどころかA,Bに対して下限(最大下界)A∧Bが存在するのは,AとBが比較可能,すなわちA【greater than or equal】BかA【less than or equal】B,な場合に限られる。考察の対象を半正定値作用素のなす錘(正錘)に限定すると状況は異なるだろうと思われる。実際どの2つの直交射影P,Qに対しても(正錘の中での)下限P∧Qが存在し,それはPの値域とQの値域の共通部分への直交射影になっ この研究では,一般の半正定値作用素A,Bが(正錘の中で)下限A∧Bを持つための条件を確立した。このためにはAのB部分[B]A,およびBのA部分[A]Bと名付けられる半正定値作用素の[B]A,[A]Bの概念の導入が不可欠である。実際,A∧Bの存在は,[A]Bと[B]Aの比較可能性で特徴付けられることが証明できた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Ando and M-H.Shih: "Simultaneous contractibility" SIAM Journal of Matrix Analysis and Applications. 19・2. 487-498 (1998)
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[Publications] T.Ando: "in “Analytic and Geometric Inequalities and Applications"" Kluwer Academic Publishers(印刷中), (1999)