1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640227
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大原 謙一 新潟大学, 理学部, 助教授 (00183765)
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Keywords | 数値相対論 / 計算物理学 / 数値天文学 / 中性子星 / 重力波 |
Research Abstract |
3次元数値相対論のシミュレーションコードに関して,主に,連星中性子星の合体の問題を取り扱うコードの開発を進めてきた。ここで,計量テンソルが星の表面近くで不安定なふるまいをすることが明らかになった。その原因は,計量テンソルの時間発展方程式を数値的に解くスキームとして流体の時間発展方程式を解くスキームと同じものを使っていることによるためであると予想された。そこで,計量テンソルの時間発展方程式(双曲型偏微分方程式)の数値解法として,東工大の矢部氏たちが開発したCIP(Cubic-Interporated Psudoparticle/Propagation)法を用いることにした。これによって,計量テンソルが星の表面で不安定性がおさえられることが明らかになった。また,時間発展の間隔をCFL(Courant-Friedrich-Lewy)条件よりも十分小さく(クーラン数<0.01)しないと不安定が発生しやすいことも明らかになった。その原因は,時間発展の間隔を大きくすると,非線型な楕円型方程式で決まるコンフォーマル係数φの計算精度が悪くなるためではないかと予想される。また,CIP法を用いると,必要な記憶領域が最大4倍に増大する。記憶領域の利用を最適化することにより,CIP法を用いない場合の約2倍程度におさえることにも成功した。 このほかに,数値境界において重力波の反射をおさえることが重要であることも明らかになった。これは,星から十分離れた空間領域まで計量の計算が必要であることを意味しており,グリッドサイズが,当初の予想の200^3より大きな,250^3程度必要であることになった。数値境界での境界条件を工夫することにより,もう少し小さなグリッドサイズでもよいかもしれないが,これは次年度以降に解決すべき問題として残されている。
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