2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640228
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
嶺重 慎 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70229780)
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Keywords | プラックホール / クェーサー / 活動銀河核 / 重力レンズ / 降着円盤 / 高エネルギー放射 / 磁場 / フラクタル |
Research Abstract |
小質量天体(例えば星)が天体像のごく一部の領域に対して重力レンズ効果を及ぼすと、像自体の変形は望遠鏡の分解能に制限されて見えないため、重力レンズは像全体の増光として観測される。これがマイクロレンズ現象である。このマイクロレンズ現象を用いると、活動銀河核(クェーサー)中心構造を観測的に分解することができる。ターゲットはアインシュタインクロスとよばれるQ2237+0305を用いる。これは遠方(z=1.69)にあるクェーサーが、近傍の銀河(z=0.04)による重力(マクロ)レンズをうけた結果、四つの像が十字形に並んで観測されているものである。このクェーサー像の中心の前を、レンズを起こしている銀河の中の星が通過すれば、クェーサー像の明るさが刻一刻変化する。光度変動曲線は光源のサイズや輝度分布に依存するため、マイクロレンズ現象時の光度変動から降着円盤の構造を知ることが可能となる。実際アインシュタインクロスでは、マイクロレンズ現象がすでに複数回観測されている。 本年度はまず、明るいクェーサーの観測スペクトルを再現するような降着流・コロナモデルを構築した(Kawaguchi et al.2001)。初年度に計算した移流優勢流モデルは、比較的低光度のAGNにしか適用できないため、明るいアインシュタインクロスのモデルとしては不適当であったためである。このモデルを用いてマイクロレンズ光度変化を計算した。その結果、軟X線と硬X線のふるまいに大きな差が期待できること、その差を捉えることが輻射機構の特定に本質であること、それにより降着流のブラックホールのごく近傍(半径数天文単位)の放射特性が明らかにされること等を、新しく見いだした(Takahashi et al.2001)。
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[Publications] Watarai,K.,Fukue,J.,Takeuchi,M.,Mineshige,S.: "Galactic Black-Hole Candidates Shining at Eddington Luminosity"Pub.Astron.Soc.Japan. 52. L1-L4 (2000)
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[Publications] Mineshige,S.,Kawaguchi,T.Takeuchi,M.,Hayashida,K.: "Slim Disk Model for Soft Excess and Variability of Narrow-Line Seyfert 1 Galaxies"Pub.Astron.Soc.Japan. 52. 499-508 (2000)
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[Publications] Kawaguchi,T.,Shimura,T.,Mineshige,S.: "Broad-Band Spectral Energy Distribution of Active Galactic Nuclei from Accretion Disks with Advective Coronal Flow"Astrophys.J.. 546. 966-974 (2001)
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[Publications] Machida,M.,Matsumoto,R.,Mineshige,S.: "Convection-Dominated, Magnetized Accretion Flow onto Black Holes"Pub.Astron.Soc.Japan. 53. L1-L4 (2001)
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[Publications] Watarai,K.,Mizuno,T.,Mineshige,S.: "Slim Disk Model for Ultra Luminous X-Ray Sources"Astrophys.J.Letters. (印刷中). (2001)
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[Publications] Takahashi,R.,Yonehara,A.,Mineshige,S.: "X-Ray Microlensing of Bright Quasars"Pub.Astron.Soc.Japan. 53(印刷中). (2001)