1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640242
|
Research Institution | HIROSAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
倉又 秀一 弘前大学, 理工学部, 教授 (10215048)
|
Keywords | 宇宙線 / 伝播 / ブラウン運動 / 拡散方程式 / 銀河磁場 |
Research Abstract |
実際の銀河の磁場構造を解明できる宇宙線伝播モデルの構築を試みた。 宇宙線が銀河磁場により散乱され伝播して行くという描像で、散乱点を格子上に配列し、そこで非等方な散乱をするモデル-「ブラウンウ運動モデル」や、銀河磁場の非等方性を入れた拡散方程式を解く「拡散モデル」を検討した。 ブラウン運動モデルでは、エネルギーの高いもの程、進行方向を保持するという散乱モデルを使えば、散乱点の間隔を実験的に決められることが示された。さらに、この散乱モデルを、磁場の乱れから導く試みも行った。必要なパラメータ空間の中を十分に調べ尽くしてはいないが、磁場の乱れを持ち込むことにより、望ましい散乱をつくれることは示された。 また、拡散モデルでは、銀河磁場の非等方性を入れた拡散方程式を、銀河円盤、銀河ハローを持つ境界条件のもとで、完全に解くことができた。銀河円盤、銀河ハローを両方とも持つ解として初めて得ることができた。解の形が複雑で十分に実験との対応をつけることがまだできていないが、適当な磁場の乱れを用いて宇宙線スペクトルのkneeを再現できることなどを確認している。 これらの結果は、私の指導した4編の修士論文にまとめられた。ここに示せば、蜂須賀一也「確率過程を用いた宇宙線伝播モデルの構築」、荒木田英禎「非一様銀河磁場内での宇宙線の伝播」、三浦 芳春「Random Walk Modelによる銀河ハローを含む銀河系内宇宙線の伝播」、高橋 郁真「銀河系内の磁場乱流による宇宙線の散乱解析」である。4人の内2人は修士課程終了後、総合研究大学院大学の国立天文台へ進学した。これらの学生といっしょに、近々に結果を投稿予定である。
|