1999 Fiscal Year Annual Research Report
クォークグルオンプラズマ検出のためのペストフ飛行時間測定器の開発
Project/Area Number |
10640247
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三明 康郎 筑波大学, 物理学系, 教授 (10157422)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 進 筑波大学, 物理学系, 助手 (70302346)
|
Keywords | ペストフスパークカウンター / 平行平板放電 / 高エネルギー重イオン衝突 / 高時間分解能飛行時間測定器 / 粒子識別 |
Research Abstract |
ペストフスパークカウンターの開発において、(1)高粒子密度下における性能、(2)経年変化、が重要な案件である。プロトタイプ試験のための高圧ベッセルを製作し、試験を開始した。一方で、本検出器の開発に関して先行しているドイツのGSIグループからの情報によると、100ピコ秒を切る高時間分解能を得ることは可能であるが、約5%〜10%の割合で約150〜200ピコ秒の広い幅をもつ分布とが重なった2重構造を示している。2重構造を示す可能性として、(1)高速荷電粒子通過時の発生電子数の統計の影響、(2)カスケード時の揺らぎの影響、(3)紫外光発生による飛び火の影響、(4)発生紫外光のガス中での吸収による放電の局在化の影響をシミュレーションにより調べた。その結果、紫外光発生が最も大きな影響を与えているとの結果が得られた。ある仮定の下では観測結果を再現するような計算結果が得られている。一方で、シミュレーションから2重構造を少なくするためには時間分解能を犠牲にしなければならないと言う結果も得られている。圧力とギャップ長などのパラメーターを調整して2重構造と時間分解能の最適化を図ると共に、高圧ベッセルを用いた測定を継続し、計算結果と比較を行っていく。 我々のシミュレーションからも明らかになったことではあるが、ペストフスパークカウンターには問題点が多く、実用化には困難な点も多く残されている。最近になって複数の平行平板電極を用いて上述の問題点を回避しようと言うアイデアが出され一定の成果を挙げているようである。この方向についても検討を進めている。
|
-
[Publications] L.Carlen,Y.Miake,S.Sato,et.Al.,: "A large-acceptance spectrometer for tracking in a high-multiplicity environment,based on space point measurements and high-resolution time-of-flight,"Nuclear Instruments and Methods A. 431. 123-133 (1999)