2001 Fiscal Year Annual Research Report
超重力理論に基づくインフレーション宇宙モデルの諸問題
Project/Area Number |
10640250
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 雅裕 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50202031)
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Keywords | インフレーション / 超重力理論 / 素粒子的宇宙論 |
Research Abstract |
超重力理論におけるインフレーションのなかでそのモデル構築がもっとも困難であるカオティックインフレーションモデルの研究を行った。カオティックインフレーションはインフレションモデルの中でももっとも単純でインフラトン場の初期値に関する調整が全く必要がない、つまり、他のインフレションモデルが多少なりとも持っている初期値問題が無いという非常に魅力的なモデルである。しかし、超重力理論においては、一般に、スカラー場のポテンシャルがプランクスケールを越えると急激に立ち上がり、インフレーションを起こすのに必要とされる平坦なポテンシャルが実現できない。そこで、理論に新たな対称性を導入し、プランクスケールを超えてインフラトン場のポテンシャルが平坦になるようにし、カオティックインフレションを実現するモデルの構築に成功した。 さらに、このモデルに関してインフレーション後の再加熱過程を調べ、再加熱温度を十分に低くすることができ、宇宙論にとって有害なグラビティーノ(重力を媒介する粒子グラビトンの超対称性のもとで対をなす粒子)の生成が抑制されること、インフラトンが右巻きニュートリノに崩壊することによって宇宙の物質・反物質の非対称性の生成(バイオン数生成)が可能であることを示した。 また、上のカオティックインフレーションモデルでは、初期条件によってはトポロジカル・インフレーションと呼ばれるインフレーションが起きることを示し、その観測的予言を行った。
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[Publications] M.Kawasaki, T.Watari, T.Yanagida: "Vacuum Instability in Anomaly Mediation Models with Massive Neutrinos"Physical Review D. 63. 083510-6 (2001)
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[Publications] M.Kawasaki, M.Yamaguchi, T.Yanagida: "Natural chaotic inflation in supergravity and leptogenesis"Physical Review D. 63. 103514-8 (2001)
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[Publications] M.Kawasaki, K.Kohri, T.Moroi: "Radiative decay of a massive particle and the non-thermal process in primordial nucleosynthesis"Physical Review D. 63. 103502-7 (2001)
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[Publications] M.Kawasaki, F.Takahashi: "Adiabatic and isocurvature fluctuations of Affleck-Dine field in D-term inflation model"Physical Letters B. 516. 388-394 (2001)
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[Publications] S.Kasuya, M.Kawasaki: "Q-ball formation : Obstacle to Affleck-Dine baryogenesis in the gauge-mediated SUSY breaking?"Physical Review D. 64. 123515-27 (2001)
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[Publications] S.Kasuya, M.Kawasaki, F.Takahashi: "Moduli Problem and Baryogenesis in Gauge-mediated SUSY breaking models"Physical Review D. 65. 063509-12 (2002)