1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640257
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
冨松 彰 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10034612)
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Keywords | 高エネルギー天体現象 / 磁気流体 / ブラックホール物理 / 一般相対論 |
Research Abstract |
活動的銀河中心核やX線星などで観測される高エネルギー天体現象には磁場が深く関与していると考えられており、ブラックホール磁気圏モデルという観点から多くの研究が積み重ねられてきた。本研究では、特に、ブラックホールの周辺での磁気圏構造を変化させるダイナモ効果に着目した。この効果は一般相対論的な磁気圏において引き起こされる可能性のある興味深い物理過程であるが、実際の有効性については不明のままに残されている。本研究では、有限の電気伝導性の影響を考慮し、ブラックホール磁気圏中にある一般相対論的磁気流体を考察した。そして、近似的な計算手法の開発を基にして、有限の電気伝導性による磁力線形状に対する擾乱の発生を検討した。その主たる近似は、流体の運動をブラックホールの周囲の公転運動に限定し、電磁場のみの擾乱の時間発展を取り扱うことである。ブラックホール自体の自転運動と流体の回転運動が磁力線形状の擾乱の維持発展に有効に働くための状況の解明に焦点を絞り、研究を遂行した。その結果、ブラックホールの自転の影響のみでは、磁場擾乱間の相互作用による自己励起ダイナモは十分に働かず、擾乱は散逸することが示された。しかし、磁気圏中の背景磁場に自転の影響が作用することによって、背景場による誘導励起として磁場擾乱の維持が可能であり、自転軸方向に収束する電磁場のエネルギー流が発生することが指摘された。また、流体の回転速度が光速に近い場合には、流体の回転方向の対流電流が大きくなり、擾乱の自己励起を導くことが見出された。これらの過程はダイナモ効果に新しい視点を与えたものであり、磁気圏における電磁波フレアーやジェット構造の原因として期待できる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Tomimatsu: "Power-law tail of gravitational waves from a uniformly accelerating black hole." Physical Review D. 57・4. 2613-2616 (1998)
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[Publications] A.Tomimatsu: "Black Holes and High Energy Astrophysics" Universal Academy Press.Inc., 13 (1998)