1998 Fiscal Year Annual Research Report
非一様宇宙における宇宙論的観測と局所的非一様性の進化
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10640266
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
富田 憲二 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (90034610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 直 京都大学, 理学部, 助教授 (70222057)
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Keywords | cosmology / relativity / inhomogeneitv / CMB / anisatropy |
Research Abstract |
本年度に行った研究は次の3種類に分ることができる。 1. 球対称非一様宇宙モデルにおける線形重力不安定性および光の伝搬についての理論。 銀河、銀河団、超銀河団、ボイドのような局所非一様性の形成と進化を調べるため、球対称非一様宇宙モデルにおける線形重力不安定性を調べた。この研究においては、自己相似時空において重力不安走性を定式化し、その解を求めた。また、光の伝搬については、中性化期以後の時期を考えるので、光を質量ゼロの無衝突粒子と見なした。そして、一般の球対称非一様,時空について、それらのブラソフ方程式の線形摂動として定式化し、その解を求めることにより、光の伝搬の振舞とを調べた(冨田)。 2. 局所的な非一様性によってもたらされる重力レンズ効果。非一様宇宙モデルをN体数値シミュレーションの方法によって導き、その宇宙において、多くの光の束を発射して、角直径距離の振舞い、および、・光像の変形を調べた。また、それらの宇宙モデルバラメター,との関係を明らかにした。この研究は、直接、一般相対論的測地線の式を解いて光の束を求めている点で、独特である(冨田)。 3. 宇宙背景放射への非一様性の影響。 我々の周辺の宇宙において、サイズの様々なボイドが見つけられている。そのような宇宙のボイド状の非一様性が、初期から現在まで広く分布している場合に、それらが、宇宙背景放射へどのような影響を及ぼすか(温度非等方性)を調べ、観測される等方性の度合いから、ボイドの分布状態への制限を導いた。また、最近の温度非等方性の観測(ARGO測定)からの宇宙モデルへの制限も調べた。さらに、宇宙がダークマターとして、いろいろな性質を持った物質(X-マター)で満ちている場合の宇宙モデルを考え、その観測的性質を調べた(杉山)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Tomita: "Angular Diameter Distances in Clumpy Friedmann Universes" Progress of Theoretical Physics. 100巻1号. 79-90 (1998)
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[Publications] K.Tomita: "Cosmological Simulation of Gravitational Weak Lensing in Flat Models" Progress of Theoretical Physics. 99巻1号. 97-108 (1998)
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[Publications] K.Tomita,H.Asada,T.Hamana: "Distances in Inhomogeneous Cosmological Models" Progress of Theoretical Physics,Supplement. 131号(発表予定). (1999)
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[Publications] N.Sakai,N.Sugiyama J.Yokoyama: "Effects of Void Network in CMB anisotropy" Astrophysical Journal. 510巻1号. 1-10 (1999)
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[Publications] B.Ratra,K.Ganga N.Sugiyama,その他: "ARGO CMB Anisotropy Measurement Constraints on Open and Flat-A CDM cosmologies" Astrophysical Journal. 510巻1号. 11-19 (1999)
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[Publications] T.Chiba,N.Sugiyama T.Nakamura: "Observational Tests of X-Matter Models" Month.Not.R.Astron.Soc.310巻1号. 72-80 (1998)