1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640267
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松尾 正之 京都大学, 基礎物理学研究所, 助手 (70212214)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相場 浩和 光華女子短期大学, 助教授 (10221706)
|
Keywords | 高励起原子核 / 減衰性回転運動 / 微細構造 / 多粒子多空孔配位の分散幅 / 局所スケーリング次元 |
Research Abstract |
1MeV程度以上の内部励起エネルギーを有する高励起変形原子核において発現する減衰性回転運動を「クランキング平均場に基づく殻模型」を用いて理論的に分析した。減衰性回転運動に伴って高速回転する複合核から放出されるガンマ線スペクトルに分散が生じるが、このスペクトルには微細構造が存在することが以前の理論計算から明らかになっている。本研究では、この微細構造が、原子核励起状態のカオス性に対する重要な指標になることを明らかにした。原子核励起状態のカオス性は、多数の多粒子多空孔配位が残留相互作用により混合することにより発生しているため、これは多粒子多空孔状態の分散幅によって特徴づけられる。同時に、多粒子多空孔状態の分散幅はガンマ線スペクトル分布の微細構造の相関幅を与える。この両者の関係を確立した。成果の一部は論文として投稿中である。 スペクトル分布は一般に強度関数と呼ばれるが、減衰性回転運動に限らずしばしば微細構造や揺らぎを示す。本研究ではまた、このような揺らぎを特徴づける指標として「局所スケーリング次元」と呼ばれる統計量を導入し、その有効性を研究した。その成果の一部は論文として投稿中である。
|