1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640277
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
熊野 俊三 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (10253577)
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Keywords | 構造関数 / 陽子 / 重陽子 / スピン / パートン / クォーク / グルーオン / 量子色力学 |
Research Abstract |
陽子内反クォーク分布のフレーバー依存性 Gottfried総和則の破れとu^^--d^^-分布が生ずる物理的メカニズムについてこれまで発表された理論と実験の結果をまとめた論文を書き、Physics Reportsに発表した。まずパートン模型を用いて総和則を導出し、摂動論的量子色力学による補正を説明した。実験の経過については70年代のSLACの実験結果から解説を始め、NMCの発見に至るまでをまとめた。この反クォーク分布のフレーバー非対称性に関する理論解釈として中間子雲模型などの模型を紹介した。また、この分野の将来的な発展性についても検討を加えた。 反クォークtransversity分布のフレーバー非対称性 上記のフレーバー非対称問題を偏極反クォーク分布に関して研究した。非偏極分布で用いられる代表的な模型である中間子雲模型とパウリ排他原理による模型を用いて、transversity分布におけるフレーバー非対称性を検討した。得られたフレーバー非対称性は両模型で同様なx依存性を示し、共にu^^-クォーク分布Δ_Tu^^-よりもd^^-クォーク分布Δ_Td^^-の方が大きくなることが明らかにされた。ただし、その大きさはパウリ排他原理による模型よりも中間子雲模型による結果の方が小さくなることが示された。 これらの結果を用いて計算した結果Drell-Yan過程のスピン非対称性A_<TT>が50%程度変化することが示された。偏極陽子・重陽子Drell-Yan過程の構造関数 偏極陽子・重陽子Drell-Yan過程の構造関数の理論的定式化を行った。まず最初に、エルミート共役、パリティー保存、時間反転に対する普遍性を利用して一般的なスピン1/2・スピン1ハドロンのDrell-Yan過程の定式化を行なった。すると、その反応において108個の独立な構造関数が存在することが判明した。更にDrell-Yan断面積を仮想光子の横方向運動量Q^^-_Tで積分するかQ_T→0の極限を取った場合、その中で22個の構造関数が有限な関数として存在することが分かり、これらの構造関数は14種類のスピン非対称性により測定できることが判明した。陽子・陽子反応の場合には存在しなかった新しい構造関数はスピン1ハドロンのテンソル構造に関係しており、それらは四重極子偏極スピン非対称性で測定することができることを示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Kumano: "Flavor asymmetry of antiquark distributions in the nucleon" Physics Reports. 303. 183-257 (1998)
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[Publications] M.Hirai,S.Kumano,M.Miyama: "Numerical solution of Q^2 evolution equations for po1arized structure functions" Computer Physics Communications. 108. 38-55 (1998)
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[Publications] M.Hirai,S.Kumano,M.Miyama: "Numerical solution of Q^2 evolution equation for the transversity distribution Δ_Tq" Computer Physics Communications. 111. 150-166 (1998)
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[Publications] S.Kumano: "Studies of polarized parton distributions at RHIC" 原子核研究. 42. 61-71 (1998)
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[Publications] S.Hino,M.Hirai,S.Kumano,M.Miyama: "Spin asymmetries at RHIC and po1arized parton distributions" Proceedings of the 6th workshop on Deep Inelastic Scattering and QCD. 680-684 (1998)
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[Publications] S.Hino,M.Hrai,S.Kumano,M.Miyama: "Transversity distributions and spin asymmetries" Proceedings of the 13th Symposium on High Energy Spin Physics. (in press). (1998)