1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640281
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Research Institution | Aomori University |
Principal Investigator |
緑川 章一 青森大学, 工学部, 助教授 (00265133)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ振動 / ニュートリノ質量 / 大気ニュートリノ |
Research Abstract |
国際会議ニュートリノ'98でSuper Kamiokandeにおける大気ニュートリノのデータが示された。それによれば、ミューオンニュートリノフラックスの天頂角分布は、理論の予想に反して、上下非対象であった。これは、およそ10年前に我々が予測したニュートリノ振動の強い証拠と考えられている。我々は、ニュートリノ振動に関係していると思われる低エネルギー大気ニュートリノフラックスの理論計算も行なっているが、もっとも関心かあるのは、標準モデル拡張の手がかりとなるニュートリノの質量と混合角である。 宇宙線によって作られたニュートリノの内、下方から検出器に届くものは、地球内部を通過するが、それらは物質とコヒーレントな散乱をする。その効果を調べる最も直接的な方法は、ニュートリノの従うシュレディンガー方程式を解くことであるが、時間がかかるので実際のデータと比較する量を計算しようとすると、膨大な時間がかかってしまう。 ニュートリノが地球を通過する場合の特徴は、物質密度の低い領域から高い領遍を経て、また低い領域に突入し、密度の最も高い点を境にして対称的だと言う点である。このような場合には、パラメータ共振と呼ばれる現象が起こることが知られている。 我々は、地球を多層に分け、この対称性を利用することにより伝播するニュートリノ遷移確率を解析関数の漸化式で表すことに成功した。この方法を用いると、シュレディンガー方程式を解く場合に較べ、計算時間を大幅に短縮することができる。この方法と以前に求めたニュートリノフラクッスを用いることにより、3世代のニュートリノの質量の2乗差と混合角を求めることが可能となるが、それを行なうことが今後の課題である。
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