1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640281
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Research Institution | Aomori University |
Principal Investigator |
緑川 章一 青森大学, 工学部, 助教授 (00265133)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ振動 / 大気ニュートリノ / ニュートリノ質量 |
Research Abstract |
ニュートリノが地球内部を通過する場合の特徴は、物質密度の低い領域から高い領域を経て、また低い領域に突入し、密度の最も高い点を境にして対称的である点にある。このような場合には、パラメータ共振と呼ばれる現象が起きる。 我々は、この対称性を利用することにより伝播するニュートリノ遷移確率を解析関数の漸化式で表すことができた。この方法は、シュレディンガー方程式を解く場合に較べ、計算時間を大幅に短縮することができ、ニュートリノ質量の2乗差と混合角の広いパラメータ領域について共鳴条件を調べることが可能になった。 そこで我々は、3世代ニュートリノにおいて現実的と思われる仮定0【similar or equal】Δm^2_<21>≪Δm^2_<32>の下で、共鳴条件を調べた。その結果、共鳴状態は、ニュートリノ方位角の余弦(cos z)、第1世代と3世代の混合角(θ_<13>)、ニュートリノ質量の2乗差とエネルギーの比(Δm^2_<32>/E)で完全に指定できること、更に、共鳴状態は、それら3つのパラメータ空間に点在するのではなく、3次元空間における曲線を形成していることが分った。 上記の結果を用いることにより、未だその値が知られていないθ_<13>の測定方法を見い出すことが可能となった。すなわち、5GeV程度のエネルギーの電子ニュートリノの方位角を調べれば、θ_<13>が数度程度であればcos z【similar or equal】-0.9付近に窪みができ、その深さから大きさを決めることができる筈である。
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