1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640282
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
加藤 潔 工学院大学, 工学部, 教授 (50152707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 宣也 工学院大学, 工学部, 教授 (50100342)
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Keywords | 高エネルギー物理学 / 素粒子の標準模型 / 摂動論の自動計算 / 輻射補正 / 電子陽電子衝突 / 新粒子探索 |
Research Abstract |
電子陽電子衝突における4フェルミオン生成過程に対する標準模型、さらには超対称性模型等での1ループ輻射補正を求めることが本研究の目標である。現在進行中のLEP-II実験における重要課題の1つであるWボソンの物理の詳細な理解にはこの計算が不可欠である。この結果があれば、Wボソン対生成において、標準模型からの微小なずれがあったとき、それが未知の粒子に起因するものか、標準模型での補正にすぎないのかを判断できる。この計算はまだ完了していないが、それに向けて今年度は以下の成果をあげた。まず、この計算のため5,6点関数を計算するループ積分ライブラリを整備した。計算規模は、最終目標より小規模であるが、1つの実Wと2つのフェルミオン生成過程の輻射補正を計算した。この計算には2つの意義がある。1つは、開発したループライブラリや自動計算システムの検証である。より重要なもう1つは、因子化した方法からのずれを実際にみることである。もし、Wボソン対を作って、それを崩壊させるという2段階で計算した輻射補正で十分ならば、本研究の意義は著しく低下する。結果は因子化した計算と比べ、1〜2%程度のずれを得た。この程度のずれはLEP-IIの精度では無視できないので、完全な計算が必要なことが推定される。もう1つの成果は、大規模計算を検証するための仕掛けをシステムに導入したことである。通常のファインマン・タフトゲージを一般化した非線型ゲージを組み込むことにより、ゲージ不変性を使用して計算の自己点検ができるようにした。次年度は、これらの結果を発展させ、最終的な目標に到達することを予定している。
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