1998 Fiscal Year Annual Research Report
不安定核粒子識別のための光束MUSIC検出器の開発
Project/Area Number |
10640288
|
Research Institution | Nagasaki Institute of Applied Science |
Principal Investigator |
木村 喜久雄 長崎総合科学大学, 工学部, 教授 (60108636)
|
Keywords | 多重サンプリング型電離箱 / MUSIC検出器 / 不安定核ビーム |
Research Abstract |
本研究年度の前半はMUSIC検出器の設計と製作に集中し9月中には検出器として動作可能な状態へ持っていくことができた。この検出器はこれまであまり試みられていない多層型の電離箱という手法を用いているため、先ず正常な動作をするかどうかを調べる目的で、九州大学のタンデム加速器から得られる低エネルギーの炭素-12のビームを用いてテスト実験を行った。高計数率での動作特性についてはビーム強度の関係で調べることはできなかったが、エネルギー分解能はほぼ満足のいく値を持っていることがわかった。その後、理化学研究所のリングサイクロトロンで高エネルギー(核子当たり約90MeV)のアルゴン-40のビームを用いた本格的なテスト実験を2度行った。その結果、毎秒1000カウントから170kカウントまでの広範囲のビーム強度にわたって粒子識別の分解能がほぼ一定値を保つという結果が得られた。特に、高計数率での分解能の低下がほとんどないという優れた性能をもつことがわかった。170k以上のビーム強度については、回路の方で工夫をしなければ検出器の特性をみることができないのでテストは行わなかった。二次粒子を使った粒子識別能力のテストでは検出器の機械的なトラブルのために完全なシステムでの実験ではなかったが、アルゴン(Z=18)以下の全ての原子番号をΔZ=0.3の分解能で分離できることがわかった。一方、高速のデータ収集系の整備についてはシステムとしての動作の調査を行っている段階でまだ本格的な高速性能を得るには至っていない。引き続き来年度へ向けて開発を続けていく予定である。
|