1999 Fiscal Year Annual Research Report
電子・陽電子リニアコライダーの為の高偏極パルス陽電子ビームの開発
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10640294
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Research Institution | High Energy Acclerator Research Organization |
Principal Investigator |
大森 恒彦 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (80185389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦川 順治 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (00160333)
竹田 誠之 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 助教授 (40029898)
栗原 良将 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50195559)
汲田 哲郎 東京都立大学, 理学部, 助手 (30271159)
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Keywords | polarized positron beam / 偏極陽電子ビーム / linear collider / リニアコライダー / laser-Compton scattering / レーザーコンプトン散乱 |
Research Abstract |
平成11年度は、主として次の2点の研究を行った。 1)ATF加速器が作るバックグランド粒子に対しては不感でありながら、我々の測定したい陽電子に対しては高い感度をもつエネルギー選択型カウンターの開発。 2)詳細なシミュレーションによる偏極度測定器の研究・全体設計。 上記(1)については発光部にエアロゲルを用い、空洞ライトガイドにより光を光電子増倍管(床付近の鉛シールド内に設置)を導く方式のカウンターを開発した。このカウンターは我々の測定したい数十MeVの電子(陽電子)に対しては98%の高い検出効率を持ちながらバックグランドに強い。 (2)に関しては非常に精密なシミュレーションを行えるプログラムを開発し、研究した。その結果、次のようなことが分かった。(1)で開発したカウンターを使っても、現状の陽電子生成数では加速器バックグランドにうち勝って陽電子の偏極度を測ることは極めて困難であり、さらに一桁以上の陽電子強度の増強が必要である。またその場合、本研究計画で従来構想してきた、磁場を使用せず空間に配置された複数のカウンターの同時計数だけによるイベント識別では十分なS/N比が達成できないことがわかった。これは陽電子強度を増強した場合、鉄ターゲット中での多重散乱に起因する大角度の陽電子によるアクシデンタル・コインシデンスが無視できないためである。 このため本年度の後半は、残念ながら目標を当初の「陽電子の偏極度を測る」から後退させ、将来の実験で偏極度を測る為の基礎的データーの収集に切り替えた。なお陽電子生成の確認(偏極度の測定を伴わない)は、比較的バックグランドの影響の大きい状態でも可能なためすでに実行し、その結果をNucl.Instr.and Meth.A誌に投稿して掲載された。
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Research Products
(1 results)