1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640299
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小谷 章雄 東京大学, 物性研究所, 教授 (90029504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 春彦 東京大学, 物性研究所, 助手 (80262161)
岡田 耕三 岡山大学, 理学部, 助教授 (70194355)
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Keywords | 共鳴X線発光 / 遷移金属化合物 / 希土類化合物 / クラスター模型 / 内殻正孔 / 遍歴性 / 局在性 / 円偏光二色性 |
Research Abstract |
本研究の主要テーマである、fおよびd電子系の共鳴X線発光(RXES)における(1)クラスターサイズ依存性、および(2)偏光依存性、の理論研究において大きな前進があった。(1)に関しては、遷移金属化合物の遷移元素の2p内殻吸収端近傍のRXESにおいて「ラマン成分」と「蛍光成分」の共存が、クラスターサイズの増大によって生じることを初めて示した。これはTiO_2などにおける実験結果と一致する。(2)に関しては、入射光の偏光が散乱面内にある場合と散乱面に垂直である場合(ただし、入射光と発光の進行方向は垂直とする)の間で、RXESの違いを詳細に検討した。特に、ScF_3、TiO_2などの軽い遷移金属化合物の2p励起RXESにおいては、二つの場合の間で極めて著しい偏光依存性の相違が生じることを見い出した。この事実は、ごく最近行われた実験結果とよく一致している。これらの成果の他に、Nd_2CuO_4の1s励起RXESにおけるクラスターサイズ依存性を、入射光の偏光がCuO_2二次元面に平行と垂直の二つの場合に対して計算し、それぞれの中間状態において、内殻正孔ポテンシャルが価電子により非局所遮蔽を受ける効果が最近の実験結果をよく説明することを示した。また、MnF_2のMn1s励起およびSm金属の2p励起のRXESにおいて、電気双極子励起と電気四重極子励起の効果を計算し、実験結果との比較をおこなった。これらの成果は国際的に評価を受け、1999年秋にイタリアのフラスカティで開かれた国際会議において招待講演として発表された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tsuyoshi Ide: "Local and Nonlocal Excitations in Cu 4p-1s Resonant X-Ray Emission Spectra of Nd_2CuO_4"Journal of the Physical Society of Japan. 68・9. 3100-3109 (1999)
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[Publications] K.Kanai: "Resonance effect on inverse-photoemission spectroscopy of CeRh_3,CePd_3,and CeSn_3"Physical Review B. 60・8. 5244-5250 (1999)
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[Publications] P. Kruger: "3_s photoemission spectra of 3d transition-metal adatoms on graphite"Physical Review B. 59・23. 15093-15099 (1999)
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[Publications] K. Fukui: "Phenomenological interpretation of MCXD in L_<2,3> XAS of trivalent cerium compound"Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. 104. 67-72 (1999)
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[Publications] Akio Kotani: "Theory of core-level spectroscopy in f and d electron systems"Journal of Electron Spectroscopy and Reiated Phenomena. 100. 75-104 (1999)
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[Publications] Akio Kotani: "Theoretical Study of X-Ray Emission Spectroscopy on Magnetic Materials"Japanese Journal of Applied Physics. 38. 354-359 (1999)