1998 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化チタン結晶を用いた遷移金属ドープ及び酸素欠陥制御によるd電子状態の研究
Project/Area Number |
10640302
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
栗田 進 横浜国立大学, 工学部, 教授 (30089833)
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Keywords | 二酸化チタン / アナターセ単結晶 / 酸素欠陥 / 水素還元 / 光吸収 / 不純物吸収 |
Research Abstract |
二酸化チタンは3種類の同質多形があるが、それ等の中でバンドギャップも大きく光触媒作用が大きいとされているアナターセは低温相に属し、これまで物性測定に耐え得るほどの良質の単結晶が得られなかった。本研究ではアナターセ単結晶を塩化アンモニュウムを輸送剤としたChemical Vapor Transport法で作成した。得られた結晶は青色透明である。これを1MPaの酸素圧下で熱処理すると黄色、ついで無色透明になった。後者は酸素欠陥の無い試料で、完全絶縁体であった。この試料を基本として、酸素欠陥の制御を試みた。酸素欠陥を水素還元処理によって生成する方法をとった。水素圧の下で熱処理を行なうと粉末状では700℃でルチルに転移した(結晶は空気中では900℃迄転移を起こさなかった)。水素還元による酸素欠陥量は処理温度、雰囲気の水素濃度によることが分かった。この知見から600℃の下で水素還元処理を行なった。この結果、約3.0eVに吸収帯を生じた。さらに水素処理を続けると、この吸収帯に替って、2.0eVに幅広い吸収帯が現れた。この吸収帯のために自由キャリアによる吸収は測定出来なかった。発光は2.4eVにピークを持つ幅広いバンドがある。これらは3つの発光体に分解出来るが、そのうちもっとも高エネルギー側にあるのは自己束縛励起子によるもので酸素欠陥には関係が無い。薄膜をゾル・ゲル法で作成した。膜の同定にはラマン散乱とX線回折を用い、アナターセであることを確かめた。水素還元処理は結晶について得られた結果と同様で、膜は連続的に黒化していった。これはTi^<3+>が多数できたためと思われる。Alドープを試みたが、現在のところドープの確証は得られていない。
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Research Products
(1 results)