2000 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化チタン結晶を用いた遷移金属ドープ及び酸素欠陥制御によるd電子状態の研究
Project/Area Number |
10640302
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
栗田 進 横浜国立大学, 工学部, 教授 (30089833)
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Keywords | 二酸化チタン / アナターゼ / 酸素欠陥 / 欠陥制御 / 吸収スペクトル / ESRスペクトル |
Research Abstract |
二酸化チタンには、3種類の同質多形が存在する。これらの中でアナターゼは低温相に属するためこれまで単結晶育成は困難とされてきた。我々の研究により、化学輸送法による様々な光学測定に充分な大きさの単結晶を得ることに成功した。as-grown結晶は薄青色透明で、これを酸素雰囲気下で熱処理することで黄色を経て、無色に変化すること、水素雰囲気下で熱処理することで薄青色、濃紺色に変化することを吸収スペクトルから確認した。濃紺色を再び酸素雰囲気で熱処理することで、濃緑色を経て黄色に戻ることから、様々な結晶の色に対応するこれらの欠陥状態を制御する方法を確立した。as-grown結晶の角度分解ESRスペクトルでは、g=1.96〜1.99付近に鋭いシグナルを観測し、角度依存性から結晶中の欠陥はTi^<3+>で、c軸方向に異方性をもつ状態であることを見出した。これにより結晶中におけるTiのサイトの対称性と相関があることが明らかにされた。 (Ti:V)O_2、(Ti:Nb)O_2の固溶体を原料とすることで、V、Nbの異元素を含むアナターセ型二酸化チタン単結晶の育成に成功した。V、Nbドープ単結晶は、それぞれ赤紫色、濃紺色の透明で、2×2×2mm^3程度の大きさであった。何れも吸収端がundoped結晶に比べ、低エネルギーシフトしていた。Nbドープの単結晶では、2.5eVから低エネルギー側に強い吸収の存在が認められ、undoped単結晶を水素還元して得られた濃紺色単結晶に類似の吸収スペクトルを示し、電子構造の類似性を示したものと考えている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] A.Suisalu,I.Sildos,J.Aarik,T.Sekiya,and S.Kurita: "Self-trapped exciton emission in crystalline anatase."J.Luminescence. 87-89. 290-292 (2000)
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[Publications] T.Sekiya,S.Kamei and S.Kurita: "Luminescence of Anatase TiO_2Single Crystals Annealed in Oxygen Atmosphere"J.Luminescence. 87-89. 1140-1142 (2000)
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[Publications] T.Sekiya,M.Igarashi,K.Ichimura,S.Kurita: "Absorption Spectra of Anatase TiO_2 Single Crystals Heat-Treated under Oxygen Atmosphere."J.Phys.Chem.Solids. 61. 1237-1242 (2000)
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[Publications] T.Sekiya,S.Ohta,S.Kurita: "Pressure Dependence of Optical Properties of Anatase TiO_2 Single Crystal."phys.stat.sol.(b). 223. 265-269 (2001)
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[Publications] T.Sekiya,S.Ohta,S.Kamei,M.Hanakawa,S.Kurita: "Raman Spectroscopy and Phase Transition of Anatase TiO_2 under High Pressure."J.Phys.Chem.Solids. 62. 717-721 (2001)