1998 Fiscal Year Annual Research Report
量子閉じ込め系における電子-格子相互作用とその電子的性質への影響
Project/Area Number |
10640312
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松浦 満 山口大学, 工学部, 教授 (60091211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗巣 普揮 山口大学, 工学部, 助手 (00253170)
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Keywords | 量子井戸 / 量子ドット / 励起子 / ポーラロン |
Research Abstract |
主要な結果の概要は下記のとうりである。 (1) 有限なバリアの量子井戸系の励起子 有限な量子井戸中の励起子のLOフォノン効果について、井戸幅の大から小につれて励起子閉じ込め次元性が3次元-擬2次元-3次元と変化することに応じた励起子エネルギーへのバルク、界面などLOフォノンモードの寄与を初めて統一的に明らかにした、1S、2S励起子エネルギーの差を典型的な3-5、2-6化合物の量子井戸系で計算し、実験と良い一致を得た。 (2) ガラス中のイオン性超微粒子(量子ドット)での電子、励起子に対するLOフォノン効果ガラス中のイオン性超微粒子、即ち、量子ドット系での電子のエネルギーに対するバルク型、界面型LOフォノンの効果を研究した。中間結合法と断悦近似法を組み合わせた変分法による定式化を展開し、量子ドットの大小、電子-LOフォノン相互作用の強さの大小の広い範囲で妥当な結果を与えることが出来た。 また、励起子についてはLOフォノン効果が量子ドットサイズにどう依存するかこれまでのいくつかの理論及び実験の仕事で相反する結論が出ているなど混乱していた。量子ドットで妥当な励起子モデルを用い、また、電子(正孔)-LOフォノン相互作用の効果を適切に取り扱い、励起子エネルギーに対するLOフォノン効果についても定式化を行った。サイズが小さくなるにつれ、バルクの値より小さくなり極限では0になることを示した、これは、サイズが小さくなると電子と正孔に対するLOフォノン効果が打ち消しあうことを反映している。この系での励起子に対するLOフォノン効果を扱うベースを確立したと言える。
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[Publications] K.Shiro,K.Akai,and M.Matsuura: "Polaron in a spherical quantum dot in a nonpolar matrix" Phys.Rev.B. 58. 7986-7993 (1998)
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[Publications] R.Zheng and M.Matsuura: "Exciton binding energies in polar quantum wells with finite potential barriers" Phys.Rev.B. 58. 10769-10777 (1998)
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[Publications] K.Oshiro,K.Akai,and M.Matsuura: "Sige dependence of polaronic effects on an exciton in a spherical quantum dot" Phys.Rev.B. 59(印刷中). (1999)
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[Publications] 千々松孝,栗巣普揮,山本節夫,松浦満,白上貞三,部坂正樹: "チタン製真空容器の真空特性" 真空. (印刷中). (1999)
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[Publications] 名古屋和孝,栗巣普揮,赤井光治,山本節夫,松浦満,他: "スパッタング法を用いた半導体超微粒子の作製" 光物性研究会'98論文集. 279-282