1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640315
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
若林 淳一 中央大学, 理工学部, 助教授 (30129225)
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Keywords | 整数量子ホール効果 / 磁場分布 / スピン分離 / ランダウ準位 / 温度依存性 |
Research Abstract |
分布を持った磁場下の整数量子ホール効果の温度依存性の測定を,温度範囲50mK〜4.2Kで,高移動度と低移動度の試料について行い,量子化ホール抵抗のプラトー間遷移領域の,スピンに依存する温度依存性を観測した.磁場分布は,Bi系高温超伝導体の単結晶を,試料の上に貼り付けることによって作った.高移動度試料については,ランダウ量子数N=1のスピンダウンの準位で,スピン縮重したランダウ準位と同様の,磁場分布を反映した温度の上昇にともなう高磁場側へのシフトが観測されたのに対して,スピンアップの準位では,磁場分布があるにも関わらず,分布を持たない通常の試料と同様の温度依存性が観測された.低移動度試料については,N=2の準位について同様の温度依存性が観測されたが,明瞭ではなかった.そこで,磁場を傾けてランダウ準位の分離に対してスピン分離を相対的に大きくして,高移動度試料と低移動度試料について温度依存性の測定を行った.その結果,低移動度試料でも,量子数N=2のランダウ準位において,高移動度試料と同様の明瞭なスピンに依存した温度依存性が確認された.また,高移動度試料では,量子数N=1の準位よりも低磁場で観測される量子数N=2の準位でも,同様のスピンに依存する温度依存性が観測された.以上の結果から,このスピンに依存する温度依存性が,試料の移動度,ランダウ量子数,磁場などに依らない,一般的な現象であることが明らかになった.
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