1998 Fiscal Year Annual Research Report
磁気異方性の直接測定による重い電子系化合物の異方的超伝導機構・磁化機構の解明
Project/Area Number |
10640320
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
天谷 健一 北海道大学, 大学院理学研究科, 助手 (70261279)
|
Keywords | 重い電子系 / 超伝導体 / 磁化測定 / ピーク効果 |
Research Abstract |
第II種超伝導体のヒステリシス磁化はその臨界電流密度と比例関係にあるので,磁化測定を通じてピニング現象を調べることが可能である.近年CeRu_2において上部臨界磁場H_<c2>直下でヒステリシス磁化が特異なピーク効果を示すことが報告されている.この現象は,臨界電流密度がH_<c2>直下で急激に増大することを示しているが,CeRu_2は比較的大きな常磁性磁化率をもっているため,このピークがFFLO相への1次転移によって生じているかどうか議論されている.我々はこれまでに純良単結晶試料の磁化測定から,ピーク磁場近傍で1次相転移が起きていないこと,および超伝導が常磁性によってほとんど抑制されていないことを示し,CeRu_2ではFFLO転移は起きていないことを示してきた. さらに,このピーク効果の原因をより明らかにするため,より低温下での精密磁化測定,試料の純良度(残留抵抗比,RRR)の異なる単結晶試料での磁化測定を行ったところ,H//<100>での減磁過程のピーク磁化に構造(cusp)を見つけた.cusp構造は温度降下とともに顕著になること,cusp構造が生じた磁場は増磁過程でピークが生じはじめる磁場にほぼ等しいことなどから,このcusp構造は磁束ピニングに起因していることがわかった.よりRRRが小さい(試料の純良度が悪い)試料では,印加磁場方向に依らずcusp構造が蜆測され,ピークが増大するのに伴って顕著になった.以上の現象は,磁束線のシンクロナイゼーション効果,磁束線の規則格子から不規則格子への動的転移に基づいた現象論的なモデルによって,定性的,半定量的に説明できることがわかった. また,CeRu_2や他の重い電子系超伝導体の異方的磁気特性を調べるために,磁気トルク測定システムを現在製作中である.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 天谷 健一: "Magnetization Study on the History-Dependent Peak Effect in the Superconducting Mixed State of CeRu_2" Journal of the Physical Society of Japan. 68・1. 224-231 (1999)
-
[Publications] 天谷 健一: "Field-History-Dependent Peak Effect in the Superconducting Mixed State of CeRu_2" Physica B. (発表予定).
-
[Publications] 辺土 正人: "Peak Effect in CeRu_2 : Role of Crystalline Deffects" Journal of the Physical Society of Japan. 67・10. 3561-3569 (1998)