1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640325
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高木 滋 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20154750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 寿夫 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (40250675)
上村 孝 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (30005813)
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Keywords | U化合物 / 希薄U不純物系 / NMR / 動的磁性 / 近藤効果 |
Research Abstract |
(1) 希薄U不純物系の基礎物性:U_2Zn_<17>は典型的な重い電子系のU化合物である。これに対応する希薄U不純物系の基礎物性を、Y_2Zn_<17>を母体とする(YU)_2Zn_<17>単結晶を用いて電気抵抗・帯磁率・比熱の測定により研究した。電気抵抗は典型的な近藤効果を示し、帯磁率・電子比熱とも低温で著しく増強される。特に比熱は2.5K付近に肩状の構造を示し、かつT→0の極限で電子比熱係数γが約2.1J/K^2mole-Uと巨大で、これはU系としては不純物系・高濃度格子系を問わず過去最高である。この巨大なγは、エントロピーについての考察から系の低い特性エネルギーによることが明らかになった。更に、結晶場下のCoqblin-Schrieffer modelに対する理論計算との比較から、これらの振舞の主要な特徴は、Uが3価の(5f)^3で結晶場基底・第一励起状態がともに2重項とすれば半定量的に説明できることが明らかになった。 (2) U化合物のスピンの揺らぎ:U_3Pd_<20>Si_6(T_N=19K)は、巨視的物性および中性子散乱による結晶場遷移の観測から5fが局在電子として振舞う典型例と考えられている。我々は^<29>Si核NMRの核磁気緩和率T_1^<-1>の測定から、常磁性領域の高温でT_1がTに比例して増大すること、これは5fモーメントの緩和率が伝導電子による散乱により決まる場合(Korringa則)に特徴的に見られる振舞であること、5fモーメントの緩和率がCe化合物と比較しても大きいことを明らかにした。よって、5fモーメントは低エネルギーの動的磁性の観点からも局在モーメントとして捉えられるが、同時に今迄全く無視されていた5fと伝導電子との混成の効果がU_3Pd_<20>Si_6の物性に重要な役割を果たすことが初めて明らかになった。これらの結果は以前のUP、U_3P_4、UAsなどの比較的高い磁気秩序温度をもつU化合物の常磁性状態での動的磁性の振舞と酷似しており、磁気秩序を示すU化合物に共通して見られる振舞と考えられる。
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Research Products
(1 results)