1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640341
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古崎 昭 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (10238678)
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Keywords | 強相関電子系 / 異方的超伝導 / 磁性 / 時間反転対称性の破れ / スピン軌道相互作用 / 表面状態 / ジョセフソン効果 / Sr_2RuO_4 |
Research Abstract |
Sr@@S22@@E2RuO@@S24@@E2は新しいp波超伝導体として最近注目を集め、昨年実験的に超伝導相は時間反転対称性の破れたトリプレット状態にあることが確立した。我々は、このSr@@S22@@E2RuO@@S24@@E2の超伝導相の諸物性について研究を行った。現象論的なギンツブルグ-ランダウ理論や準古典近似、あるいは微視的なボゴリューボフ-ドジャン方程式に基づき、Sr@@S22@@E2RuO@@S24@@E2中の不純物やドメインウォール周辺及び超伝導体表面付近における超伝導特性や電子状態(局所状態密度)を計算した。これらの欠陥付近では準粒子の自発的な運動により超伝導電流が生じるが、特に、表面やドメインウォールに沿って一方向に流れる超伝導電流は、量子ホール効果に現れるカイラルな準一次元電子状態に似ている。さらに、二つのs波超伝導体間にSr@@S22@@E2RuO@@S24@@E2をはさんだジョセフソン接合を用いた実験において観測された臨界電流の特異な温度依存性を、ギンツブルグ-ランダウ理論により説明した。Sr@@S22@@E2RuO@@S24@@E2の超伝導発現機構に関連して、スピン軌道相互作用の影響を考察した。この物質の超伝導状態は二次元的であり、単純な弱結合理論の範囲ではスピントリプレット状態は6重に縮退している。我々は、スピン軌道相互作用がこの縮退を解き、実験結果の示唆する時間反転対称性の破れた状態を安定化することを明らかにした。 d波対称性をもつことが実験的に確立している高温超伝導体について、その表面状態を研究した。これまで理論的に指摘されている時間反転対称性の破れた状態に加えて、表面近傍に反強磁性状態が出現し、これがYBCO系の実験で観測されたような局所状態密度の原因となる可能性を指摘した。また、磁場中のハイゼンベルグ梯子模型のスピン相関関数をボゾン化法により計算し、高温超伝導に関連して興味をもたれているSO(5)梯子模型のハーフフィルド状態近傍でのスピン相関を議論した。 超伝導メゾスコピック系におけるジョセフソン効果について考察し、d波超伝導体表面に生じるミッドギャップ状態との関連を論じた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] C.Honerkamp et al: "The competition between the 0- and π-phase shift in the Pb-Sr_2RuO_4-Pb junction" Progress of Theoretical Physics. 100. 53-61 (1998)
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[Publications] G.M.Luke et al: "Time-reversal symmetry-breaking superconductivity in Sr_2RuO_4" Nature. 394. 558-561 (1998)
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[Publications] S.Murakami et al: "An SO(5) model of p-wave superconductivity and ferromagnetism" Physical Review Letters. 82(印刷中). (1999)
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[Publications] M.Matsumoto et al: "Quasiparticle states near the surface and the domain wall in a p_x±ip_y-wave superconductor" Journal of Physical Society of Japan. 68(印刷中). (1999)
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[Publications] M.Matsumoto et al: "Chiral optical absorption by a vortex in p_x±ip_y-wave superconductor" Journal of Physical Society of Japan. 68(印刷中). (1999)
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[Publications] M.Sigrist et al: "Phenomenology of the superconducting state in Sr_2RuO_4" Physica C. (印刷中). (1999)
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[Publications] A.Furusaki: "Josephson current carried by Andreev levels in superconducting quantum point contacts" Superlattices and Microstructures. (印刷中). (1999)