1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640344
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅 誠一郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40206389)
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Keywords | 低次元量子スピン系 / 臨界指数 / 磁場 / 共形場理論 / 数値厳密対角化 |
Research Abstract |
本研究は微小金属での局所的電子相関効果を理論的に調べることを目的としている。本年度は数値的厳密対角化と共形場理論に基づく有限サイズスケーリングとを組み合わせることで、低次元量子多体系の磁場中での臨界的的を調べた。 近年、スピン梯子系やボンド交替鎖なとエネルギーギャップを持つ1次元スピン系が理論、実験の両面から活発に研究されている。ここではまず、第二近接相互作用を持っS=1/2ボンド交替鎖の磁場中での臨界的性質を調べた。その結果、この系は朝永ラッティンジャー流体で記述されることを明らかにした。さらに磁場に垂直方法のスピン相関関数の臨界指数は、磁化の立ち上がり付近で磁場の増加にともない増加し、最大値をとった後は磁場の増加と共に減少することを明らかにした。また、磁場に平行方向のスピン相関関数の臨界指数は、磁化の立ち上がり付近で磁場の増加と共に減少し、最小値をとった後増加することをが分かった。これらの振る舞いはS=1/2ハイゼンベルグ鎖ともハルデーンギャップ系とも異なり、この系特有の性質を示している。 次いで、S=1/2二本足スピン梯子系におけるスピン相関関数の臨界指数の磁場依存性を調べた。その結果、横木方向の相互作用が強磁性的か反強磁性的かにより臨界指数の磁場依存性は定性的に異なった振る舞いを示すことが分かった。またごく最近行われた対角的な強磁性相互作用を持つS=1/2二本足梯子物質に対する磁場中での核磁気共鳴実験に基づいて、スピン相関関数の臨界指数の磁場依存性が考察されている。そこで、この物質を記述すると考えられるパラメータを用いて臨界指数の磁場依存性を計算し実験結果と比較した。得られた計算結果は実験結果と定性的に異なった振る舞いを示している。この結果は、この物質では梯子間の相互作用や格子ひずみの影響が重要であることを示唆していると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Usami: "Critical Properties of S=1/2 Heisenberg Ladders in Magnetic Fields" Phys.Lett.A240. 85-90 (1998)
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[Publications] M.Usami: "Critical Properties of Frustrated S=1/2 Spin Chain with Bond Alternation in Magnetic Fields" Phys.Rev.B58. 14401-14406 (1998)