1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640351
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
平岡 耕一 愛媛大学, 工学部, 助教授 (00199043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨吉 昇一 愛媛大学, 工学部, 教授 (50005922)
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Keywords | 価数相転移 / 核四重極共鳴 / 高圧力 / スピン-格子暖和時間 / 希土類化合物 |
Research Abstract |
立方晶C15b型結晶構造を有するYbInCu_4は、T_V=42Kで一次相転移的に電子状態が変化し、T_V以上(高温相)でのYb^<3+>の状態から、T_V以下(低温相)での価数揺動状態に移る典型的価数相転移化合物である。低温相でのYbの価数は+2.8価と報告されているが、どのような機構で価数相転移が生じるのか現在までのところ明らかでない。この価数相転移の機構は結晶格子の収縮と密接な関係があると言われているので、高圧力下での物性、特にNQR測定による微視的な電子状態の解明を目的としこの研究を行った。この系の格子定数は温度の低下とともに減少するが、転移点以下で急激に増加し、価数揺動状態ではその変化が小さいことを、中性子回折のデータをリートベルト解析することにより明らかにした。また、価数相転移に伴う結晶構造の変化が生じないことを確認した。約2GPaまでの高圧力下での電気抵抗の温度変化を測定することにより、転移温度が1GPaまで-17K/GPaで減少し、これ以上の圧力下ではより高い比率で減少することを見いだした。これらの結果をもとにしてGruneisen type parameterを1GPaまで-64と得、これが高圧下で価数相転移を示すCe金属とほぼ同程度の値であることを見いだした。これらの結果をまとめ、雑誌論文として発表した。また、約1.2GPaまでの高圧力下で^<63>CuNQRの測定を行い、77Kおよび4.2Kでの共鳴周波数(v_Q)の圧力依存性dv_Q/dPがそれそれ1.7kHz/GPaおよび4.2kHz/GPaであることを得た。同じく低温相、高温相の温度定点(4.2K,77K)で核スピン-格子緩和時間T_1の測定を行い、4.2Kにおける0.7GPa付近を除き、いずれの温度においてもT_1は圧力の増加に伴って減少する傾向にあることを見いだした。これらの結果をまとめ、日本物理学会1998年秋の分科会において発表した。
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Research Products
(1 results)