サブミクロンの空間での超流動ヘリウム3の相転移の研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10640352
• Research Institution: Osaka City University
• Principal Investigator: 石川 修六 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (90184473)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松原 明 大阪市立大学, 理学部, 助手 (00229519)
• Keywords: ヘリウム3 / 超流動 / 相転移 / コヒーレンス長 / 異方性 / サブミリケルビン / 秩序パラメータ / サイズ効果

Research Abstract

本研究は、超流動ヘリウム3を1μm以下の十分狭い平行平板中に入れた場合のヘリウム3超流動相の振る舞いについての研究である。
本年度は準備段階として2つの点について開発、研究を行った。一つは1μm以下の隙間を持つ平行平板を作ることであり、他方は核磁気共鳴法で得られる信号の対雑音比(S/N比)の改善である。狭い隙間の製作に関しては、粒径が0.3ミクロンの粒子をマイラーシートで挟んで積み重ねたものを製作し、電子顕微鏡で隙間のサイズ分布を調べた。製作方法はこれまでの我々のグループで行ってきた方法と同じであるが、粒径が小さい分だけ空気中の埃の影響を考慮しなければならなかった。
後者に関しては信号の増幅器として、液体ヘリウム温度(4.2K)に初段の増幅器をおくことで対雑音比の大幅な改善を図り、製作と動作の確認作業を行った。また増幅器のみならず核磁気共鳴法の検出コイルやコンデンサが持っているQ値を高くする必要があり、その点に関しても超伝導線を用いるなどで対処すべく製作を行った。
現在これらの測定系を用いて測定を行うべく、最終的なセルを組み立てており、組立が終わり次第、狭い平行平板中の超流動ヘリウム3の実験を行う予定である。