1998 Fiscal Year Annual Research Report
インパルス応答関数の実時間測定による構造相転移ダイナミクスの検討
Project/Area Number |
10640359
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
辻見 裕史 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (20113673)
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Keywords | 水素結合系強誘電体 / 燐酸二水素カリウム / KDP / 構造相転移 / 時間分解スペクトロスコピー / インパルス応答関数 |
Research Abstract |
本研究は、典型的な水素結合系強誘電体である燐酸二水素カリウム(KDP)の構造相転移機構がソフトモードで特徴づけられる変位型であるのか、あるいは緩和モードで特徴づけられる秩序・無秩序型であるのかを明らかにすることを目的としたものである。この目的のため、超短パルスレーザー光を衝撃力として試料に加え、そのインパルス応答関数を実時間で計測することにより、ラマン散乱で観測されている強誘電性セントラルモードが過減衰ソフトモードなのか、あるいは緩和モードなのかを決定する。 130フェムト秒のパルス幅を持つ現有のTi:Sapphireレーザーで実験を開始した。その結果、強誘電性セントラルモードを励起することに成功し、その強度の時間依存性は緩和モードで記述できることが分かった。また、このモードの緩和時間はこれまで報告されている誘電緩和やラマン散乱で得られている電気分極のゆらぎの緩和時間と良い一致を示す。したがって、KDPの構造相転移機構が秩序・無秩序型であると結論できそうである。しかし、強誘電性セントラルモードが過減衰ソフトモードであるとしても、振動的な振る舞いが顕著に現れるのは110フェムト秒程度であり、現有の130フェムト秒のパルス幅では振動的な振る舞いを観測するのは困難である。したがって、過減衰ソフトモードであっても緩和モードとして観測されてしまうため、構造相転移機構に関しては確定的なことが言えない。 現在、現有のパルスレーザーシステムにパルス幅圧縮装置を組み合わせ、パルス幅80フェムト秒のパルス光を作るためのシステムを完成させたので、これを用いて実験を発展させて行く予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Yoshioka, Y.Tsujimi and T.Yagi: "A single exponential time decay of the ferroelectric soft B_2 made of KDP studied by impulsive stimulated Reman scattering" Solid State Comm.106. 557-580 (1998)
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[Publications] S.Yoshioka, Y.Tsujimi and T.Yagi: "Coherent excitation of ferroelectric B_2 mode of KDP by impulsive stimulated Raman scattering" J.Phys.Soc.Jpn. 67. 377-380 (1998)
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[Publications] S.Yoshioka, Y.Tsujimi and T.Yagi: "Direct observation of the ferroelectric soft mode of KDP by impulsive stimulated Roman scattering" J.Korean Phys.Soc.32. S565-568 (1998)