2001 Fiscal Year Annual Research Report
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10640366
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| Research Institution | Nara Women's University |
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Principal Investigator |
戸田 幹人 奈良女子大学, 理学部, 助教授 (70197896)
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| Keywords | メゾスコピック系 / 化学反応 / アーノルド拡散 / レーザー / 対称性 / 半古典論 / 摂動論 |
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| Research Abstract |
少数多体量子系におけるダイナミックスの研究に向けて、本年度は多自由度古典ハミルトン系のダイナミックスを研究した。特に、化学反応における振動エネルギー再分配過程を念頭に、非線型共鳴の成す網の目(アーノルドの網の目)の中での動的な挙動を研究した。具体的には、高励起振動状態のアセチレンを、特に赤外レーザーの下での挙動に焦点当てて研究を行った。その理由は、この系が、多自由度系における反応過程の制御の問題において、プロトタイプと成り得るからである。第一に、高励起振動状態のアセチレンには、動的な保存量が存在する事が知られており、それから来る非エルゴード性が、反応制御の可能性を示唆するからである。第二に、アセチレンからビニリデンに向かう異性化反応において、反応座標とレーザーとの双極子相互作用が、分子の対称性から来る選択則によって禁止されているからである。このため、従来、反応制御の研究に用いられてきた方法が直接には適用できず、分子内振動エネルギー再分配過程を利用した、新たな方法が必要とされるからである。
高励起振動状態のアセチレンには、分光学的に特定された非線型共鳴がいくつか知られている。しかし、赤外レーザーの下での異性化反応において、その全部が重要なのではない可能性が大きい。従って、反応過程をより詳しく調べるには、非線型共鳴の中で、本質的に効いているものだけを取り出し、モデルハミルトニアンを構成することが必要である。本年度の研究で、シス変角とトランス変角の間の2対2共鳴と、振動角運動量の間の1対1共鳴の二つが欠かせないことが分かった。この二つの共鳴と、レーザーとの相互作用とを合わせて、全部で三個の共鳴過程が必要である。この事は、ハミルトン力学系においてアーノルド拡散と呼ばれる過程が、レーザー下の異性化反応において、重要である可能性を示唆する。
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[Publications] Mikito Toda: "Dynamics of chemical neactions and chaos"to be published in Advamces in Chemical physics.
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[Publications] 戸田 幹人: "境界領域としての化学反応論"自動計測学会主催「オープンダイナミックスの諸相」 研究会予稿集. 1-10 (2001)
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[Publications] 戸田 幹人: "化学反応のダイナミックスとカオス"研究集会「数理物理の諸問題と力学系」報告集. 1-8 (2001)
