1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640367
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
川村 光 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (30153018)
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Keywords | ボルテックス / 渦糸 / 高温超伝導 / ボルテックスグラス / 相図 / スクリーニング / モンテカルロシミュレーション |
Research Abstract |
磁場下の第二種超伝導体の内部には多数の磁束(ボルテックス)線が存在し、超伝導体の諸物性に重要な役割を果たしている。特に銅酸化物高温伝導体では揺らぎの効果が顕著であり、磁束をピン止めする不純物ポテンシャルのランダムネスとこれら熱揺らぎの相乗効果により、従来型の超伝導体とは異なった多彩な物性が実現されている。本研究では大きな揺らぎの効果が期待される高温伝導体でのボルテックス・マターの相転移・秩序化現象特に磁束線のグラス的秩序(ボルテックス)を、統計物理的な手法特にモンテカルロシミュレーションによる数値的方法に基づいて理論的に解析を勧めている。 具体的には磁場中のランダムな超伝導体の超伝導転移を、磁場の揺らぎの効果(スクリーニシグ効果)及び外部磁場による縦・横揺らぎ間の空間的異方性を取り入れた3次元格子モデルに関するモンテカルロシミュレーションにより解析した。ピンニングの効果を取り入れたランダムな系では、系の熱平衡化が大きな問題になるが、本研究ではスピングラス等の問題に適用されてその有効性が実証されているレプリカ交換拡張アンサンブル方法を計算アルゴリズムとして使い、効率的な熱平衡化を達成した。その結果スクリーニングが無視出来る極限では有限温度で安定なボルテックスグラス転移が縦・横両成分に関して同時に起きる事、これに対し有限のスクリーニング効果の下ではボルテックスグラス相は不安定になる事を見だした。転移に伴う臨界指数として、従来系の空間的異方性を考慮しないより簡単化されたモデル(ゲージグラスモデル)に基づいて得られていた値とかなり異なった値が得られた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H.Kawamura: "Eguilibrium Simulation of Chiral-Glass Order in a Three-Dimensional Heisenberg Spin Glass" J.Magn.Magn.Mater.177-181. 69-70 (1998)
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[Publications] I.A.Campbell: "Spin Glass Dynamics" J.Magn.Magn.Mater.177-181. 63-66 (1998)
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[Publications] H.Kawamura: "Dynamical Simulation of Spin-Glass and Chral-Glass Orderings in Three-Dimensional Heisenberg Spin Glasses" Phys.Rev.Letters. 80. 5421-5424 (1998)
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[Publications] H.Kawamura: "Successive Transitions and Intermediate Chiral Phase in a Superfluid^3 He Film" Phys.Rev.Letters. 82. 964-967 (1999)