1998 Fiscal Year Annual Research Report
巨大分子の構造形成:高分子鎖折れ畳のモレキュラー・ダイナミクス
Project/Area Number |
10640371
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 隆 山口大学, 理学部, 教授 (00127797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 浩二 山口大学, 理学部, 助手 (80253136)
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Keywords | 巨大分子 / 高分子 / 構造形成 / コンピュータ・シミュレーション / 折れ畳み / モレキュラーダイナミクス / 結晶化 / 分子動力学シミュレーション |
Research Abstract |
高分子凝集系は、ラメラ結晶と非晶領域が交互に積層した特徴的な高次構造を持ち、マクロな性質はこの高次構造に大きく影響される。工業的な重要性とも関連して、高分子の高次構造形成に関しては今日まで膨大な知識が集積されてきたが、その多くは経験的な知見に基づく初歩的な理解に止まっている。最近、分子シミュレーションを用いた、物理学第一原理からの巨大分子構造形成の研究が大きな関心を集めている。例えば、タンパク質のフォールディングやポリマーのコラプス、高分子の一次核形成や結晶成長など、非常に精力的な研究が始められている。 結晶成長は界面過程であり、成長界面に接近した分子鎖が界面に吸着し秩序化する過程である。高分子の結晶成長に関しては、有名なLauritzen-Hoffman理論を基礎に今日まで膨大な研究がなされてきたが、その分子的過程の詳細に関しては現在でも激しい論争が続いている。本研究で我々は、高分子結晶成長の微視的過程、特に分子鎖の折れ畳の分子メカニズム、を明らかにすることを目指して大規模な計算機シミュレーションによる研究を始めた。比較的簡単な高分子モデルを用いることによって、高分子鎖の界面吸着過程とそれに続く界面での秩序化過程を、分子動力学シミュレーションによって明らかにすることが出来た。今後、螺旋高分子などの複雑なコンホメーションを持つ高分子の結晶化(界面での螺旋の秩序化や巻き直し)や結晶核剤表面でのエピタキシー的な結晶成長、更には流動下での結晶化、等など、新たな領域への発展を目指している。
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[Publications] 山本隆: "Molecular dynamics simulation of polymer ordering" Journal of Chemical Physics. 109. 4638-4645 (1998)
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[Publications] 広瀬正和、他: "Crystal structures of the α and the β forms of isotoctic polypropylene" Computational and theoretical Polymer Science. (印刷中).
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[Publications] 山本隆: "高分子結晶のダイナミクス:相転移と構造形成" 高分子(高分子学会誌). (印刷中).