1999 Fiscal Year Annual Research Report
巨大分子の構造形成:高分子鎖折れ畳のモレキュラー・ダイナミクス
Project/Area Number |
10640371
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 隆 山口大学, 理学部, 教授 (00127797)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 浩二 山口大学, 理学部, 助手 (80253136)
|
Keywords | 高分子 / 巨大分子 / 構造形成 / 結晶化 / 折れ畳結晶化 / フオールデイング / モレーキュラー・ダイナミクス / コンピュータ・シミュレーション |
Research Abstract |
1.高分子の結晶化機構は今回の中心課題であり、高分子材料開発への応用や生命科学との関連からも極めて興味深い研究課題である。本研究では、3次元空間での吸着・折り畳み結晶化の過程に注目した。ランダム・コイル状の分子鎖をモデル的な結晶下地の傍に置き、その後の吸着・秩序化過程を、分子動力学シミュレーションを用いて究明した。先ず、高分子鎖は成長界面へ強く吸着が起こり、その後に界面での再構過程を通して折りたたみ結晶が生じる事が明らかにした。 2.分子鎖が非常に剛直になると、折れ畳が困難になる。ここでは鎖状高分子の間に梯子がかかった構造を持つ分子(はしご型高分子)の結晶化過程を光学観察とX線回折を用いて究明した。 3.比較的鎖長の短いn-アルカンなどの脂質分子の結晶化は、高分子結晶化とも密接に関係しており、古くから詳しい研究がなされてきた。我々は、分子動力学シミュレーションを用いて、数千原子(数百分子)系の振る舞いを詳しく調べ、鎖状分子の興味深い意外な振舞いを明らかにした。 4.高分子の結晶化を考えるとき、融解直前に観測される液晶的な中間相(回転相)の構造は貴重な情報を与えてくれるものと期待される。本研究では、実験的な手法と計算機シミュレーションを用いて、この方面の研究に先鞭をつけた。 5.融点近傍では、分子鎖はかなりの運動性を有し、強固な分子内結合力に起因する強い協同性にも助けられて、大規模な構造再編を起こす場合がある。ここでは、典型的な螺旋状高分子であるアイソタクティック・ポリプロピレンの結晶において観測される様々な多形現象、特にその微視的およびナノスケール構造を、モンテカルロ法を用いて明らかにした。
|
-
[Publications] 山本 隆: "高分子結晶のダイナミクス:相転移と構造形成"高分子. 48. 312-315 (1999)
-
[Publications] R.Kameya: "Crystalline phase transition with a large conformational change in TDPA"J.Materials Sci.. 34. 5015-5020 (1999)
-
[Publications] M.Hirose: "Crystals structure of the α and the β forms of istactic polypropylene"Computational and Theoretical Polym.Sci.. (in print).
-
[Publications] G.Z.Li: "Effect of crystallization conditions on single crystals of PPSQ"Polymer. 41. 2827-2830 (1999)
-
[Publications] K.Nozaki: "Mechanism of primary nucleation and origin of hysteresis in n-alkane"J.Materials Sci.. (in print).
-
[Publications] T.Yamamoto: "A Monte Carlo study of the pattern formation during transition in n-alkane"J.Chem.Phys.. (in print).