2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640372
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Research Institution | Saga Medical School |
Principal Investigator |
末崎 幸生 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (80069484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一ノ瀬 浩幸 佐賀医科大学, 医学部, 教務員 (10232406)
竹生 政資 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (30207005)
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Keywords | 脂質膜 / 形状相転移 / 曲げ弾性定数 / 吸着平衡 / モンテカルロ法 / 麻酔効果 / ラングミューア単分子膜 / 非特異性 |
Research Abstract |
2001年度においては、以前に名古屋大学宝谷研究室で観測された、球状脂質2分子膜ベシクルの、少量の蛋白質分子(タリン)添加によるカップ状ベシクルへの形状相転移を蛋白質の吸着平衡により理論的に説明した。しかし、この理論はカップ状ベシクルの局所的な力の釣り合いを満たしていないので、2001年度においてはこのことをモンテカルロ法によって数値的に形状を解析した。その結果は論文としては準備中であるがロンドンで2001年9月に開かれた国際会議"Biophysical Chemistry 2001"において口頭発表して、その会議記録は審査されて受理されたがいずれProceedingとして発行される予定である。これによって以前に解析した割球近似による解析は、定性的にはその観測結果を表しているが、新たなモンテカルロ法による解析によって、観測されている具体的なカップの形状をよく再現していることが判明した。現在はその計算にサドル曲げ弾性の効果を入れて解析を進めている。 生体膜は見かけ上表面張力がゼロであり、力学的には穏やかなものと思われているが、膜内には応力分布が存在しその効果が露わに、麻酔分子の膜への吸着を通じて麻酔効果を支配しているという形で顕れうると仮説を証明すべく、ブルガリア科学アカデミーのPetrov教授と共に考えて共同研究を進めた。その結果、神経膜の外側の単分子膜に麻酔分子が吸着することにより、神経膜のイオンチャンネル開閉の確率を有為に変化させうることを簡単な解析によって示した。その結果はJ. Phys. Soc. Japan 71,#4(2002)に掲載予定である。要点は麻酔効果が非特異的な物理化学現象であるという観測事実と、筆者等の膜内部の応力分布に対する推察によって結果を導いたが、直接観測されない膜の内部応力分布が存在するという新しい概念が重要であることを示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Suezaki, H.Ichinose, H.Hotani: "A Theory for the shape change of liposomal membranes due to adsorption of protein"Information. 4. 127-131 (2001)
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[Publications] Yukio Suezaki, Alexander G. Petrov: "Lipid-mediated Action of Local Anesthetics on Ion Channels in Membranes"J. Phys. Soc. Japan. 71(No.4)(掲載予定). (2002)
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[Publications] Yukio Suezaki: "Theory on opening-up of liposomal membranes by adsorption of talin"Proceedings of Biophysical Chemistry 2001. 1(掲載予定). (2002)