1998 Fiscal Year Annual Research Report
ポリメタクリル酸メチルの希薄溶液での核生成・成長過程とコイル-グロビュール転移
Project/Area Number |
10640377
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中田 允夫 北海道大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90088849)
|
Keywords | コイル-グロビュール転移 / ポリメタクリル酸メチル / 相分離 / 光散乱 / 希薄溶液 |
Research Abstract |
酢酸イソアミルに溶解したポリメタクリル酸メチル(PMMA)のコイル-グロビュール転移を光散乱強度の実験により調べた。PMMAとして、分子量M=8.4x10^6と12.2x10^6の分別試料を用いて、それぞれ0.8x10^<-4>-3.4x10^<-4>g/cm^3と0.6x10^<-4>-2.6x10^<-4>g/cm^3の濃度範囲にある四つの溶液を調整して光散乱の測定をした。分子量8.4x10^6の溶液の沈殿温度は47.0-50.5℃の範囲に存在し、分子量12.2x10^6の溶液の沈殿温度は48.5-51.5℃の範囲に存在した。光散乱測定は61.0(θ-温度)-20.0℃の温度範囲で行い、PMMAの分子量と、平均二乗回転半径<s^2>をジムプロットを用いてデータから決定した。<s^2>は膨張係数α^2=<s^2>/<s^2>。に換算し、温度Tは還元温度τ=(1-θ/T)M^<1/2>に換算して、コイル-グロビュウル転移の解析をした。 急冷30分後に得られたα^2をτに対してプロットしたら、コイル領域では分子量に依存しなかったが、グロビュウル領域では分子量による違いが現れた。さらに、|τ|の大きいところではα^2は|τ|と共に増大する傾向が見られた。この傾向は鎖状高分子の基本的な性質と矛盾している。この原因として、急冷30分後ではPMMA分子は完全に収縮していないことが考えられたので、30℃に急冷後のα^2を長時間にわたって測定した。その結果、分子量8.4x10^6と12.2x10^6のPMMA鎖はゆっくりと収縮して、それぞれ600分後と2500分後に平衡値α^2_∞に達する事がわかった。鎖の収縮過程は、α^2と時間tminとの関係として、α^2=α^2_∞+{b/(t+c)}^pで表わされた。この式の中の係数は分子量にあまり依存せず、ほぼp〜0.50、b〜0.3、c〜0.4であった。収縮したPMMA鎖は昇温の際には直ちに膨張して平衡値に達した。 これらの事から鎖の収縮は単一機構で起こる事が明らかになった。溶掖全体の相分離は鎖が完全に収縮した後に急速に進展した。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Mitsuo Natata: "Kinetics of coil-globule transition of poly (methyl methacrylate) in isoamyl acetate" J.Chem.Phys.110・5. 2703-2710 (1999)
-
[Publications] Mitsuo Nakata: "Kinetics of chain aggregation of poly (methyl methacrylate) in isoamyl acetate" J.Chem.Phys.110・5. 2711-2716 (1999)