1998 Fiscal Year Annual Research Report
鉄電極反応における確率共鳴を利用した非周期信号の検出
Project/Area Number |
10640380
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
石渡 信吾 横浜国立大学, 工学部, 助手 (10223041)
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Keywords | 確率共鳴 / 化学振動 / 鉄-硝酸反応 / 引き込み / 協同現象 / 刺激応答 / Farey樹 / ノイズ |
Research Abstract |
当初の計画では本年度、(1)本振動反応の安全性及び再現性の向上、(2)確率共鳴(SR)現象の確認とその周波数特性、(3)非周期信号の振動パターンの検出、次年度で、(4)素子の結合による検出効率の向上を掲げていた。 (1)については、メタクリル系樹脂で鉄線を包埋し、先端反応面の周囲を数mmの厚みで平坦化することによって反応面下の流れの安定化を計り、これにより本研究を遂行するに見合うだけの安定かつ再現性のある反応を実現しつつある。現在、不確定要因の1つであるKC1(塩橋)を用いない水素電極への移行を試みている。 (2)については、先に求めた刺激応答特性に基づいて、マルチファンクションシンセサイザ(1946)より微弱信号とノイズの加算波形をポテンショスタット(HA-101BS)を介して鉄電極に印加し、その応答波形をデジタルオシロスコープで測定、FFTで解析した。その結果、検出効率が最大となる最適ノイズ強度の存在を確認し、確率共鳴現象を捉えることができた。また周波数特性については、本反応では“不完全"な応答が存在しSR現象を複雑にしていることがわかった。そこで、より単純な系である単安定電気回路に戻って周波数特性を調べた。この系では回路の固有周波数付近で検出効率が最大になるという生物系を考察する上で興味ある特性を得た(投稿準備中)。次年度、本反応系で同様の周波数特性が存在するかどうかについて確かめる。 (3)についても同電気回路で予備的な実験を行い、検出の可能性を示した。ここではFFTは使えず、パターン検出の新たな評価法を確立することが次年度の課題である。 (4)準備として、2本の鉄電極をHA-101BSで異なる周期の振動状態にして引込み現象の有無を調べた。その結果、1:1の引込みや、2:1から7:4→5:3→3:2への引込みパターンの遷移過程(Fareyの序列)を捉えることができた。また、この現象は拡散により速い相互作用であることが予想される。次年度この点を確認する。
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