1999 Fiscal Year Annual Research Report
熱音響効果に基づいた新しいエンジンの提案とその理解
Project/Area Number |
10640385
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
矢崎 太一 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20144181)
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Keywords | 熱機関 / 熱音響効果 / 音響エンジン / 進行波 / 定在波 / 非線形振動 / 冷凍機 / エネルギー変換 |
Research Abstract |
数百年にわたる歴史があるにもかかわらずエンジンの基本的理解の方法はカルノー以来何の進展も見られない。エンジンを理解することは物理学の基本的問題の一つである。我々が最近示した熱音響効果に基づく新しいエンジン模型は従来のエンジンの理解を大きく変えようとしている。エンジンや冷凍機を音波と壁(熱交換器等)との間の熱的相互作用の結果として起こる新しいデバイスとして捉え、エネルギー変換の新しい理解の方法とそれに基づくエンジンの基本的性質を実験的に明らかにする事が研究の主な目的である。熱音響効果に基づくエンジンを大別すると2つに分類できる。熱音響定在音波エンジンと熱音響進行波エンジンである。これらのエンジンは可動部が無くエネルギーを音波という形で直接伝達できる等の利点がある。それぞれの結果の要旨は以下の通りである。 まず定在波エンジンについて述べる。両端の閉じた管内(共鳴管)にスタックと呼ばれる蓄熱器を設置しその両端を熱交換器ではさみ温度勾配をつける。ある条件で管内の気柱は自発的に振動しだす。一種のエンジンである。しかし一般のエンジンのように可動部がなく、また極めて単純である。流体運動の圧力と速度を同時測定することにより音響エネルギー流速密度(仕事流れ)を直接測定した。結果的に共鳴管内では定住波音波が発生し、その原因となるエネルギーが蓄熱器から湧き出している事を直接観測できた。蓄熱器内でのエネルギー変換が定在音波によって遂行された結果と理解できる。次に進行波エンジンについて述べる。環状型細管内に上記のようなスタックを挿入する。ある条件で管内の気柱がやはり自発的に振動しだす。LDVを用いて非接触で仕事流れを測定した。環状管を低温部から高温部に進行する進行波音波が励起されていた。スタックは一種の音波増幅の役割を果たしていることを明らかにした。エネルギー変換の効率は定在波エンジンより明らかに大きい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Yazaki: "Measurement of sound generation in thermoacoustic oscillations"Proceedings of the Royal Society of London A. 454. 2113-2122 (1998)
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[Publications] T.Yazaki: "Traveling wave thermoacoustic engine in a looped tube"Physical Review Letters. 81. 3128-3131 (1998)