1998 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー冷却法によるコヒーレント原子線生成の基礎研究
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10640392
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中川 賢一 電気通信大学, レーザー極限技術研究センター, 助教授 (90217670)
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Keywords | レーザー冷却 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 / 原子光学 |
Research Abstract |
本研究はレーザー冷却法を用いてマイクロケルビン台の極低温原子を作り、さらにこれから多数の原子の原子波の位相が揃ったコヒーレントな原子線を生成するための基礎技術の開発およびコヒーレント原子線の基礎物理特性を調べることを目的としたもので、今年度(平成10年度)は主にレーザー冷却法に磁気トラップによる蒸発冷却を併用した方法により、ボーズ・アインシュタイン凝縮実現、およびこれを用いた原子レーザーの実現のための実験装置の開発を行った。開発した装置は2つのガラスセルを用いた磁気光学トラップ(MOT)を細いパイプでつないだダブルMOTと呼ばれるトラップ用真空装置で、極真空(10^<-11>トル以下)で10^9個以上のRb原子をレーザー冷却・補捉が可能になる。Rb原子のレーザー冷却に用いる光源としては、外部共振器型半導体レーザーを開発し、さらに注入同期法を用いて単一モード出力パワーを30mWに、またレーザー増幅器を用いてさらに200mW以上の出力が得られ、冷却用光源として十分なパワーおよび周波数安定度が得られる。このようにしてレーザー冷却した低温原子を捕捉してさらに冷却するための磁気トラップの設計を行い、従来のものより一桁低い電流で動作可能な新しいトラップコイルおよびその電流制御系の開発を行った。今後、これらの磁気光学トラップおよび磁気トラップを組み合わせて蒸発冷却を行い、原子数の最適化、トラップの最適化を行ってRb原子のボーズ・アインシュタイン擬縮を実現し、さらにはこれを用いて原子レーザーを実現する予定である。
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