1998 Fiscal Year Annual Research Report
低周波微小地震の発生機構の研究-中帯域地震計による連続記録の解析-
Project/Area Number |
10640398
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小菅 正裕 弘前大学, 理工学部, 助教授 (90142835)
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Keywords | 低周波微小地震 / 地殻深部 / 中帯域地震計 / 震源時間関数 / マグマ |
Research Abstract |
平成10年5月中旬〜11月下旬の期間,下北半島において臨時地震観測を実施した.観測点数は期間によって若干変更したが,11点〜15点である.地震計は中帯域地震計(5秒計,20秒計,30秒計)を主体に,一部1秒計を用いた.記録はサンプリング周波数100Hz,分解能16ビットでA/D変換し,DATテープを用いたレコーダに連続収録した.観測期間中の下北半島での地震活動度はそれほど高くはなかったが,10月18日に川内町でマグニチュード4.0の地震が発生し,その前後での地震活動はやや活発であった. ルーチン処理による震源要素を使って連続記録から波形の切り出しを行い,イベント波形ファイルを作成した.震源要素の深さを基に波形を調べた結果,渡島半島南部で発生した低周波微小地震を見いだした.この地震の波形は,複雑な震源時間関数を持つ地震であることを示唆する.これ以外の,ルーチン観測によっては震源が決定されなかった低周波地震については,連続記録を再験測して探す必要があるため,験測プログラムを開発中である. 岩手山周辺で発生する低周波地震の観測を目的に,岩手県雫石町でのアレイ観測も実施した.観測期間中に発生した岩手県内陸北部の地震(マグニチュード6.1)の余震に,顕著な低周波地震が含まれていた.この余震の波形解析とアレイ解析を行った結果,低周波地震動の生成機構としては,流体を含んだクラックの振動や,震源から放出された地震波と地下構造(この場合は雫石盆地やその南部のカルデラ構造)と効果的にカップリングを起こしたこと,等が考えられる.このことは,地殻深部での低周波地震の発生機構として,マグマに関連する特異な震源メカニズムの他に,震源近傍の特殊な構造の影響も考慮する必要があることを示す.
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