1999 Fiscal Year Annual Research Report
低周波微小地震の発生機構の研究-中帯域地震計による連続記録の解析-
Project/Area Number |
10640398
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小菅 正裕 弘前大学, 理工学部, 助教授 (90142835)
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Keywords | 低周波微小地震 / 中帯域地震計 / 後続波 / 震源メカニズム / マグマ / 地殻流体 |
Research Abstract |
1.下北半島および渡島半島の深部低周波微小地震の発生機構 昨年度に引き続き下北半島において実施した臨時地震観測による波形データを基に,下北半島大畑沖・渡島半島戸井沖の地殻深部で発生した低周波微小地震について解析を行い,以下のような知見を得た.(1)観測において中帯域地震計を用いたことにより,深部低周波地震の波形には1Hz以下の信号は有意に含まれていないことを初めて明らかにした.(2)低周波後続波の性質をparticle motionから詳細に検討し,後続波群がS波である可能性を示した.これは震源において低周波振動を励起するような力が繰り返し働いた結果と解釈できる.(3)直達波部分の低周波域・高周波域それぞれについてS/P振幅比を求め,力源のタイプを見積った.それぞれのS/P値に対応する力源モデルはsingle force型,開口クラック型であることから,震源にはまず開口クラックを生じるような力が働き,その後,低周波後続波群を形成するsingle force型の力が繰り返して働くと考えられる. 2.岩手県内陸北部の地震に伴う浅部低周波地震 1998年9月3日に発生した岩手県内陸北部の地震(M=6.1)に伴って顕著な低周波余震が発生した.この余震の解析から以下のような知見を得た.(1)低周波の波は盆地生成表面波と考えられることがわかったが,このことは低周波地震波の成因として2次的励起(地殻深部低周波地震の場合にはマグマだまりの振動など)が重要な役割を果たす場合もあることを示す.(2)2次的表面波を効率的に生成した地震そのものが,低周波地震であったことが判明した.この地震の発生には地殻流体の存在が関与していると考えられる.
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