2000 Fiscal Year Annual Research Report
低周波微小地震の発生機構の研究-中帯域地震計による連続記録の解析-
Project/Area Number |
10640398
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小菅 正裕 弘前大学, 理工学部, 助教授 (90142835)
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Keywords | 低周波微小地震 / 中帯域地震計 / 後続波 / 震源メカニズム / マグマ / 地殻流体 |
Research Abstract |
12年度は主に岩手山地域の低周波地震を取り扱った.この低周波後続波は2秒程度の卓越周期,S波よりも大きな振幅,20秒以上の長い継続時間で特徴づけられる.センブランス解析やparticle motion解析の結果,この後続波は盆地生成表面波と考えられることがわかった.ただしそのためには,入射波が低周波成分に富むことが必要である.実際,低周波余震の実体波スペクトルは,高周波余震のスペクトルに比べて高周波成分が欠落していることがわかった.従って,低周波後続波を伴う余震は地殻浅部低周波地震であることになる.低周波地震発生の時系列を調べると,低周波地震は本震発生直後には比較的多く発生していたが,時間とともに発生頻度が低下したように見える.このことは,低周波地震の発生が過渡的な現象であったことを示唆する.また,アレイで記録した余震のPコーダ波には,コヒーレントな位相が多数含まれていた.P-P散乱を仮定し,簡単なペナルティ関数を用いて散乱体の位置を推定したところ,低周波余震の震源域よりも南西の地殻中部に求められた.本震発生前に生じた岩手山周辺での地震活動・地殻変動・超長周期地震の震源過程の研究から,岩手山の山体下にはマグマの貫入があったものと考えられている.まだ定性的な段階ではあるが,マグマから派生した地殻内流体の関与を考えると,低周波地震の発生が過渡的な現象であったことや,多くの散乱源が存在することを説明することができる.
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Research Products
(1 results)