1999 Fiscal Year Annual Research Report
2次元マントル大循環モデル構築へ向けて ―マントル進化におけるリソスフェアの役割
Project/Area Number |
10640401
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小河 正基 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (30194450)
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Keywords | マントル対流 / 火成活動 / 数値シミュレーション / マントル進化 |
Research Abstract |
第一に、マントル物質を粘性率が温度に強く依存する粘性流体であるとした上で、火成活動・マントル対流結合系の数値シミュレーションを行った。この結果、(1)粘性率が温度に非常に強く依存し、リソスフェアとアセノスフェアで粘性率コントラストが10,000倍以上ある場合には、リソスフェアは堅い不動の蓋となり、しかもその一部は地球のテクトスフェアにみられるように、組成的な浮力の効果と粘性率の温度依存性の効果が相まって、非常に厚く(300km以上)なること、及び(2)この粘性率コントラストが1000倍程度の時は、リソスフェアは、その高粘性のためゆっくりとではあるが対流運動をすることがわかった。(2)の結果は、マントル対流と火成活動が非常に強く相互に影響しあい、対流は主に組成的な浮力により駆動されている状況下(筆者の提唱する火成対流相)においてもsluggish lid modeの対流が起こることを示している。さらに、(2)におけるリソスフェアの運動により、ちょうど海嶺の火成活動にみられるような、プレートの拡大境界における火成活動が起こることを見いだした。(1)の結果は地球のテクトスフェアの起源を、(2)の結果は、近年地質野外調査により明らかに成りつつある初期地球におけるプレート運動を理解する上で重要な結果である。第二に、このsluggish lid modeの対流とプレート運動は本質的に同じものであるという仮説のもとに、数値モデルの中にプレート境界を導入するための予備的な数値シミュレーションを行った。具体的には、プレートにおける断層面の形成をモデル化するため、プレートの破壊の程度(ダメージ・パラメター)という物理量を導入し、さらに、マントル物質を粘弾性体とした上で、熱対流の数値シミュレーションを行った。現在、数値不安定を起こさずに計算ができるようになった段階である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masaki Ogawa: "Coupled magmatism-mantle convection system with variable viscosity"Tectonsphysics. (accepted). (2000)
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[Publications] Masaki Ogawa: "Numerical models of magmatism in convecting mantle with temperature-dependent viscosity and their implications for Venus and Earth"Journal of Geophysical Research. (in press). (2000)