1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640405
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
古本 宗充 金沢大学, 理学部, 教授 (80109264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 良浩 金沢大学, 理学部, 助手 (80283092)
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Keywords | マントル / コア・マントル境界 / 異方性 |
Research Abstract |
今年度の目標は、ScS波による異方性の観測時間幅を広げることとした。そこでまず日本付近における多数の深発地震の波形データの収集・整理を行った。そして得られたデータの良否の検討後、良質なScS波を利用して、異方性軸の解析を試みた。古い深発地震記録にっついては、日本付近で発生した大きめの深発地震の洗い出しを行い、気象庁の長周期記録(紙記録)の検討を行った。また最近の大きめの深発地震については、各大学等が管理する広帯域デジタル地震記録を収集した。 古い地震記録の検討を行った結果、多少予測されていたことではあったが、残念ながらこれまでに解析が行われ報告済みの地震以外については、あまり適切なものが発見できなかった。その結果異方性の時間変化を過去へ遡ること及び過去のデータ数を増やすという点では旨く行かなかった。一方、広帯域地震記録については、最近幾つかの比較的大きな深発地震が日本列島周辺で発生したこともあり、適切と思われる記録が得られた。しかしながら、これらの地震からのScS波部分を利用して、通常の方法で異方性軸の方向を解析すると、明確な軸方向の推定が難しい等の問題があることが分かった。これらの原因として、(1)観測点直下の異方性がかなり大きな影響を及ぼしている、(2)異方性の軸方向とScS波の振動方向との関係にもよっていると考えられる、及び(3)ノイズの影響等が考えられる。以前の解析結果の再検討を含め、現在より詳しい解析を進めている。
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