1998 Fiscal Year Annual Research Report
海洋フロント域の混合過程における二重拡散対流の影響
Project/Area Number |
10640419
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
吉田 次郎 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (30174931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 秀樹 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10087570)
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Keywords | 低塩分水 / thermobaric効果 / 二重拡散対流 / ソルトフィンガー / Lock-exchange型流れ / K-H不安定 |
Research Abstract |
1. 常磐、鹿島灘沖海域にかけてCTD,XCTD,ADCP観測を行った。その結果 (1) 親潮系と見られる低塩分水が緯度経度で2×2度の領域全体で表層、中層に広がっていた。これは前年度のほぼ同時期の行われた観測で中層のみに低塩分水が見られたことと大きく様相を異にした。 (2) 沖合側の2測線の限られた範囲で、表層と中層の低塩分水が鉛直方向に連続した分布を示した。このことはこの領域で親潮系の水塊が沈み込み、中層で拡散している可能性を示唆するものであった。 2. 極域での深層水形成に関わる深い対流プロセスを調べるために、thermobaric効果(海水の熱膨張係数の圧力依存性が温度によって異なり、低温ほど大きくなること)により引き起こされる対流の物理機構を数値実験によって調べた。その結果 (1) 非線形近似を行った場合、安定な密度成層にも係わらず、計算開始とともに初期擾乱が発達し、4時間後にはスケールが選択されplumeが発生し深い対流へと発達し、thermobaric効果による対流発生が確認された。 (2) 線形近似を行った場合、初期条件の水中の密度場は不安定となり、(1)と同様にplumeの発生と急激なoverturningが起こった。 (3) (1)のケースについて、塩分拡散係数と温度拡散係数の比をτ=K_S/K_T<1.0とした結果、二重拡散がactiveな場合には対流の発達が抑えられることが示された。 3. ソルトフィンガー型対流発生の数値実験可視化について、ロンドン市立大学と共同研究を行い、室内実験との整合性について協議した。この結果は現在解析中である。 4. Lock-exchange型流れに対する二重拡散対流の影響の数値実験を、過去に行ったものから境界条件を変更させて行った。、その結果、二重拡散対流による鉛直輸送により、一成分系の密度流で発生するK-H不安定が押さえられること、また、境界の形状が異なることなどを見いだした。
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