2000 Fiscal Year Annual Research Report
海洋表層混合層の微細構造の観測とその数値モデル化について
Project/Area Number |
10640421
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY OF FISHERIES |
Principal Investigator |
山崎 秀勝 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (80260537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 秀樹 東京水産大学, 水産学部, 教授 (10087570)
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Keywords | 乱流 / 微細構造 / 数値モデル |
Research Abstract |
本研究は海洋の表層混合層を観測し、その動態を数値モデルによりシュミレートすることを目的として計画した。この目的のため、混合層内の乱流を直接観測しなければならない。そこで、我々は自由落下型の乱流観測装置の開発を行ってきた。この観測装置(Turblence ocean Microstructure Aquisition Profiler,TurboMAP)は、本研究を通したびたび改良を加え、現在はかなり過酷な条件でもデータを取得することが出来るようになった。平成12年10月に青ヶ島の海域において、10m/sを越える強風が吹く黒潮の真っ只中で表層混合層の観測をすることが出来た。 TurboMAPは乱流シェアー・水温の微細構造ばかりでなく、高解像度の蛍光光度計及び濁度計を搭載しており、植物プランクトンや水中懸濁物質の微細な分布状態を計測することが出来る。これらのパラメータを同時に計測し、そのデータ解析等の手法を確立することができた。シェアーや微細な水温の計測方法については、すでに北米で確立された技術であるが、小型蛍光光度・濁度計に関しては本開発が初めてのものであるため、解像度の検証や他の観測測器との比較を行なう必要があった。今年度は室内実験を通じてこれらの問題を検討した。この結果、空間的には約2cmで解像でき、一般的に自然界に存在する蛍光光度の測定範囲を充分測定できることが解った。観測結果によれば、蛍光光度の微細な分布状態は乱流から強い影響を受けていることが解った。蛍光光度のスペクトルは、乱流のそれよりも大きいスケールでスペクトルレベルが低下していることが解った。このことは蛍光光度の起源となる植物プランクトンが、乱流下で局所的に固まって存在することを示唆している。 これらの観測結果を数値モデルの中で再現するために、Mello-YamadaのClosure Modelを用いて乱流の動態を表現し、植物プランクトンや懸濁物質の分布状態をランダムウオークモデルによって扱うことを試みている。風と対流の影響によって植物プランクトンの生産の様子がどのように影響をうけるのかを調べてきた。また、Mello-YamadaのClosure Modelと簡単なEkman層のモデルとの比較もおこなった。これらの一連の数値実験なかから拡散係数が空間的に変化する場合、一般的なランダムウオークの手法では粒子が偏ったところに集まる傾向があることが分かった。これは物理的機構による凝縮効果ではなく、数学的な理由によるもである。今後は、観測に現れている植物プランクトンの凝縮のメカニズムを解明し、数値モデルの中で再現しなければならない。
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Research Products
(1 results)