2000 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯降雨衛星観測とライダー雲観測とを用いた雲の放射効果の定量的評価に関する研究
Project/Area Number |
10640426
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Research Institution | UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
高薮 縁 東京大学, 気候システム研究センター, 助教授 (10197212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 一郎 国立環境研究所, 大気圏環境部, 主任研究員 (30229398)
杉本 伸夫 国立環境研究所, 大気圏環境部, 室長(研究職) (90132852)
住 明正 東京大学, 気候システム研究センター, 教授 (10179294)
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Keywords | ライダー雲観測 / 熱帯降雨観測衛星 / 静止衛星雲観測 / 雲底高度分布 / 日変化 / アンビル |
Research Abstract |
地上での雲の放射効果に関しては、GMS/TBB(気象衛星「ひまわり」相当黒体輻射温度)等の雲データと放射コードを用いた研究や精密な放射観測を用いた研究から、雲の鉛直分布特性の把握が必要であることが明らかであったが、雲底情報も含めた雲システム特性についての理解は十分でない。本研究では、ジャカルタおよび観測船「みらい」に設置した小型ミーライダー観測により雲底高度を算出し、衛星雲データ・降雨データおよび気象データを併用し、熱帯域の陸上・海上の雲降水システム特性を解析した。 1.ジャカルタ設置のライダーによる雲の連続観測から雲底高度を算出した。またGMS/TBB、およびTRMM PR(熱帯降雨観測計画衛星降雨レーダー)、NOAA衛星の長波放射、高層観測データを収集・処理した。これらのデータを用いて雲底高度分布の特性と大規模大気循環との関係を解析すると共に、雲底分布・衛星からの雲頂情報・降雨の関係を日変化に着目して解析した。 観測は1998年1-2月、6-7月、10-11月、12月-1999年3月、6-8月に行われ、湿潤期と乾燥期に分けて解析した。湿潤期には、高度1km以下・約4.5km・約11kmの雲底の3層構造が明らかになった。1km以下の雲底は、12-18LTの陸上の境界層の発達で現れる夕立ちに伴い、乾燥期にも出現する。一方、4.5km高度の雲底は夕方〜朝方に観測され深夜00-03LTに卓越するもので湿潤期特有である。TBBデータやTRMM降雨データとの比較から、これは対流システムと組織化したアンビル雲の融解層高度に広がる雲底と解釈できる。 2.「みらい」搭載のライダーによる観測から雲底高度を算出し、ジャカルタの結果と比較しながら熱帯海上での雲底高度分布の特性と気象場・雲頂・降雨の関係を日変化に着目して解析した。陸上との第一の相違は、1km以下の雲底を持つ雲が昼夜を問わず常に現れることである。やはり1km以下、約4.5km、約11kmの3層が顕著である。4.5kmのピークは03-09LTと15-18LTにあり、前者が大きい。夕方から夜明け前に上層11km付近のピークがあり、00-03LTに大きい。TRMM PRからは海上では03-09LTの早朝に対流雨と層状雨が組織化した降水の卓越が解析され、4.5kmのピークは組織化した雲システムのアンビルの早朝の発達を示す。これはジャカルタと同様、湿潤期特有の現象であった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Takayabu,Y.N.,T.Ueno,T.Nakajima,and etc.: "Estimate of the cloud and aerosol effects on the surface radiative flux based on the measurements and the transfer model calculations"J.Meteor.Soc.Japan. 77. 1007-1021 (1999)
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[Publications] Nobuo Sugimoto,Ichiro Matsui,Zhaoyan Liu,and etc.: "Observation of Aerosols and Clouds Using a Two-Wavelength Polarization Lidar during the Nauru99 Experiment"Journal of The Marine Meteorology Society, UMI TO SORA (SEA AND SKY). 76. 93-98 (2000)
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[Publications] N.Sugimoto,I.Matsui,A.Shimizu,and etc.: "Climatological Characteristics of Cloud Distribution and Planetary Boundary Layer Structure in Jakarta.Indonesia Revealed by Lidar Observation"Geophys.Res.Lett. 27(18). 2909-2912 (2000)
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[Publications] M.Pinandito,I.Rosananto,I.Hidayat,and etc.: "Mie Scattering Lidar Observation of Aerosol Vertical Profiles in Jakarta, Indonesia"Environmental Science. 13(2). 205-216 (2000)
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[Publications] M.Pinandito,N.Sugimoto et al: "Lidar Network System for Monitoring the Atmospheric Environment in Jakarta City"Opt.Rew.. 5,4. 252-256 (1998)