1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10640428
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
品川 裕之 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教授 (00262915)
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Keywords | 超高層大気 / モデル / ダイナミクス / オーロラ / 加熱 / 鉛直風 / 熱圏 / 電離圏 |
Research Abstract |
本研究では、熱圏鉛直風の振る舞いを定量的に調べるために、鉛直方向と緯度方向の運動量方程式を含む2次元非静水圧平衡熱圏大気モデルを開発し、まず、ファブリペロー干渉計によって得られた熱圏風のデータとの比較を行った。その結果、代表的な場合について熱圏鉛直風の波動的振る舞いが、ジュール加熱に伴う変動によってある程度説明できることが分かった。しかしながら、オーロラアーク付近では鉛直風の時間的・空間的振る舞いが非常に複雑な場合も多いことがわかった。このことは、熱圏大気が、単純にオーロラ加熱に伴う変動だけでなく、(1)加熱源の時間的・空間的変動、(2)別の領域で発生した大規模重力波の影響、(3)熱圏の背景風の影響、(4)重力波同士の相互作用などで支配されていることを示唆している。オーロラアークに伴う熱圏・電離圏変動のモデリングはこれまでにも行われてきたが、アークは空間的には固定されたものとして取り扱われてきた。しかし、実際には、オーロラアークは多くの場合、大きな速度(〜数100m/S)で移動しており、それに伴い加熱領域も移動している。本年度は研究では、これまでに開発した鉛直方向の運動量方程式も含めた非静水圧平衡熱圏・電離圏モデルを用いて、オーロラアークが移動する場合の熱圏・電離圏ダイナミクスを調べ、EISCATの観測データと比較した。その結果、以下のことが明らかになった。(1)観測では、アークの通過に伴い、15〜40分の周期の沿磁力線方向のイオンの振動がしばしば起こる。(2)モデルでは、アークの通過に伴って、下流側で振幅が10〜30m/S、周期15分程度の鉛直風の振動が生成される。(3)鉛直風の振幅は、観測の方がモデルより2〜3倍程度大きくなる傾向がある。(4)実際の熱圏変動では、アークの移動の効果とアーク中の加熱率の変動の両方が重要となる。
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